望郷と海

「望郷と海」を読みました。先の大戦シベリアに抑留され、8年の間、強制労働させられた人の体験記録です。圧倒的な苦難状況の中で人は尊厳を保てるか? という視点で読みました。飢餓との戦い、寒さとの戦い、虫との戦いの中で、ただ生きる事だけが目的になることのが痛々しい。ソ連に対する反抗を理由に25年の刑期を言い渡され、森林の伐採や鉄道の建設の重労働を課せられました。その拘束と密告に人格は破壊してしまうのが普通です。圧巻は解放されたときの心理状況です。振り返って、私がその場にいて、どんな精神状態になるのか想像もつきません。自殺や逃亡の意志もなくなるそうです。フランクルの「夜と霧」を読んだときの衝撃が再び襲いました。

望郷と海 (始まりの本)

望郷と海 (始まりの本)