自助論

「自助論」を読みました。スマイルズの名著で、明治4年に「西国立志編」と題して出版され、ベストセラーになった本の新訳です。豊富な事例に圧倒されました。事例を読んでいるだけで影響されます。最盛期の英国の人々に「天は自ら助くる者を助く」という考えが浸透していたから大英帝国の大繁栄があったのでしょう。胸に手を当てて自らを振り返って見ると怠け心や贅沢をよしとしていたことに愕然とします。でも今からでも遅くはないと気を取り直して通読しました。せめて若い人に伝えることはできます。私の恩師、桐原元氏は「自分ができないことでも、良いことはひとに伝えなさい」と言っていました。備忘します。

自助論

自助論

人間の進歩の速度は実にゆっくりしている。偉大な成果は、決して一瞬のうちに得られるものではない。そのため、一歩ずつでも着実に人生を歩んでいくことができれば、それを本望と思わなければならない。ページ35
スコットは時間厳守を心がけ、実に規則正しい生活を送った。そうでなければあれほどおびただしい分量の文学作品を生み出せはしななかっただろう。彼のもとには毎日分厚い手紙の束が送り届けられた。その一通一通に返事を書くのはうんざりするほど辛い仕事である。だが彼は調査や推敲の必要はない手紙にはその日のうちに返事を出すことを日課としていたため、一度たりとも先方に義理を欠いたことはなかった。ページ47
ほんとに鍛えられた優れた長所を持ち、それをいかんなく発揮する人間なら、世間が見逃わけがない。ただし、どんなに長所があっても、家の中に閉じこもってチャンスの到来をただ待ちわびてるだけではお話にならない。ページ126
ビジネスにも、それを効率よく運営するのに欠かせない原則は6つある。それは、注意力、勤勉、正確さ、手際の良さ、時間厳守、そして迅速性である。ページ127
鋭い直感力、断固たる意思、如才なさこの3つの資質は、戦場で軍を率いる将軍のように大勢の部下を指導する人間には不可欠である。ページ138
ビジネスほど、人柄の善し悪しが厳しく問われる分野はない。そこでは、正直かどうか、自己犠牲の精神にあふれているかどうか、公正かつ誠実に行動できるかどうか、などが厳格なふるいにかけられる。ページ146
ご子息に私の名前を分け与えたと伺いましたが、それなら是非私の家にしとるとっておきの処世訓も教えてあげてください。それは「人から良く見られたいと思ったら、うわべだけでなく中身も良い人間になるよう努力せよ」という言葉です。ページ245