老いる勇気

老いる勇気」を読みました。今月の新刊です。著者は「嫌われる勇気」という、何とも気になる題名の本を著している方です。フェイスブックで大東氏が紹介していましたので早速購入しました。親の介護の問題が中心に語られています。自分は両親に十分優しくなかったことを内心反省していました。この本を読んで救われました。もっと早くこの「考え」を知っていたらと悔やむ気持ちもありますが、それはそれで両親は私を産み育てたことで十分であったことを理解しました。妻も娘も孫にも同じように私が存在することで役に立ちたいと思いました。「老いる」意味、定年後の過ごし方に有益な示唆をたくさんもらいました。老いる勇気とは、できないことを認める勇気、課題に取り組む勇気、対人関係に入っていく勇気です。耳が痛い指摘です。アドラーばかりでなく、三木清プラトンを読み直したくなりました。備忘します。

まずは、他者と比べてしまっている自分に気付き、他者と比べないようになると、それだけで心が軽くなります。ページ27
…「この話、前にもした?」と尋ねられたら、彼は,前にも聞いたけど、「おばあちゃんの話は何回聞いても面白い」と答えたそうです。初めて聞くつもりで、面白そうな話だと思って聞いてみてください。話が弾み、いつもとは違う親の表情が見られるでしょう。ページ95
これは、認知症の人ばかりではありません。私はかつて精神科医院に勤めていましたが、妄想を訴える人は、話を否定されればされるほど、症状が深刻化します。そういう時はそんなはずはないありえないと否定せず、そうなんだと思って話を聞きます。ページ98
人生にはいろんなことがあります。「今ここ」に焦点を当てる生き方ができていれば、自分はこれまでもそうやって最善を尽くし、一生懸命生きてきたと思えるし、そう思えればきっと失敗も許せると思います。ページ111
アドラーは、自分に価値があると思うときにだけ、勇気をもてると言っています。ここで言う勇気には2つの意味があります。1つは「課題に取り組む勇気」です。…今一つの勇気は、「対人関係に入っていく勇気」です。…アドラーは、あらゆる悩みは、「対人関係の悩み」だと言っていますが、生きる喜びや幸福は対人関係の中でしか得ることができません。ページ138
子や孫に接する時に、「こうあってほしい」「こういう人間に育てたい」という下心があってはいけません。どう生きるか、どんな人間になるか、は本人が決めることであり、本人の課題です。ページ169
これまでの人生の中で多くの人から受けてきたものを、私たちは自分の子供に、次代を担う若い人たちに、あるいは社会に返していくしかないのです。ページ181