地元経済を創りなおす

「地元経済を創りなおす」を読みました。町おこし、村おこしの本質を衝いています。自主独立でなければ継続しないことを強く主張しています。補助金交付金をバケツ(市町村経済)に注ぎ込んでも、たくさんの漏れ穴から流れ出て、結局、大都市に環流され「町おこし」の効果が出ない、だから雇用も生まれず、人口も減少するとの意見です。シャッター商店街、農業放棄地の問題も、著者の視点によれば「漏れ」問題となります。特にエネルギーの問題は重要で、水力やバイオマスによる地元でのエネルギー生産が死命を決するように思いました。結局は、「限界費用ゼロの時代」に書いてあったように、未来は「情報」と「エネルギー」と「輸送」の問題に帰結します。備忘します。

…いくらお金を地域に「ひっぱってくるか」「おとすか」ではなく「地域からのお金の流出を減らす」こと、つまり、「一旦地域に入ってお金をどれだけ地域内で循環し、停滞させるか」が大切なのです。ページ22
人も地域経済も、「まずは依存から自立へ。自立してこそ、相互依存という最も豊かな状態に向かうことができる」のではないでしょうか。人に頼りきっている状態は脆弱です。相手に翻弄されてしまうからです。今まさにそうなりつつあるように、地方への交付金補助金が減っていく時代、地域経済や地域の幸せの外部依存度を下げ、自給自足率を上げていくことが、地域のレジリエンス(しなやかな強さ)につながります。ページ25
地域経済を取り戻すためには、いったん地域に入ってたお金を滞留・循環させることで生み出される地域の富や豊かさに焦点を当てる必要があります。したがって、企業や家計の消費および投資の「域内」「域外」の割合を意識し、「域内調達」と「域内所得」と「域内消費」、そして「域内投資」の割合を増やす取り組みを重視します。ページ29
RESASには様々なツールがありますが、中でも、「地域経済循環マップ」は都道府県レベルと市町村レベルの経済の流れを大まかに把握できる優れたツールです。…RESASSには、全国の市町村についての産業連関のデータが用意されています。これは既存の統計データを用いた「地域経済計算」などを利用し、統一的な書式で作成されたものです。市町村が詳細の聞き取りをして作成した産業連関表に比べると精度は落ちますが、傾向を把握することはできます。誰もが市町村レベルの地域経済の傾向を把握できるという意味では画期的なものです。ページ48
地域経済の漏れバケツの穴をすべてふさぐことは、可能ではありませんし、望ましい事でもありません。それぞれの地域が自分たちで手綱を握って、「地域内で生産できるものは、地域内で賄う」、「域内で生産できないものは域外から購入し、自分たちも他の地域にそこでは生産できないものを販売する」ことのバランスをとっていくことが望ましい姿だと考えます。ページ67
そして、効果的・効率的に地域経済からの漏れをふせぐためには、漏れの大きなところを見つけることです。これまで紹介してきた「地域経済の漏れ」調べで、「漏れが大きく」「地元でも供給できる」商品やサービスを具体的に見出すことができます。ページ68
この「地産地消」の考え方を、地域経済の観点から大きく発展させた考え方が「地消地産」です。…「地域でできたものを地域で食べよう」ではなく、「地域で消費してるものを地域でつくろう」が大事なんだ、と。そう捉えれば、食べ物以外にも広げて考えることができます。まさに「漏れバケツの穴を塞ぐ」考え方です。ページ70
…大事なのは、生産物の「出口=市場」戦略、つまり継続して販売できるものを考え、作っていことです。また、多くの場合、既に出口=市場があるものを対象に、「域外から調達から、域内での生産へ」と切り替えてことが、最初の一歩になります。ページ74
日本のどの地域経済も、同じ「最大の漏れ穴」を有しています。それは、エネルギー料金です。…どの地域も、そのエネルギーの多くを海外から輸入する化石燃料に頼っていることが、「最大の漏れ穴」となっています。ページ97
地域経済にとっては、「地域の、地域による、地域のための再エネ開発」が非常に重要です。日本の「地域のエネルギー資源、地域のために活用す再エネ事業」の取り組みをいくつか紹介しましょう。ページ106
ネットワーク型の取り組みの代表例が、アメリカで始まった「スローマネー運動」です。スローマネーとは、秒単位の機械的な株取引や投機を駆け巡るファーストマネーではなく、ゆっくりと地元を潤すお金を大事にしたいとの思いから名付けられた名前です。…スローマネー運動は、2008年に地元の小規模な食糧業者への投資を呼びかける運動として始まりました。…自分たちの地域社会で、皆が創り出したい将来に対して投資をするということです。健全な地元の食料システムが出発点ですと謳われています。ページ127
食料品店でもガソリンスタンドでも、ある地理的な範囲に事業が持続できる程度の顧客がいないことには事業を続けていくことはできません。…そういう状況に対して営利事業者が撤退しても、自分たちで買い物ができる場やガソリンを給油できる場を維持していくという住民自体の取り組みが生まれています。これは、地域住民の利便性と福利を守る取り組みであるとともに、地域経済をボロボロの漏れバケツにしないという取り組みなのです。ページ130