会社の品格

「会社の品格」を読みました。この本は、経営論というより人事論です。「社員を大切にしない会社は必ず滅ぶ」と言っています。その通りです。例えば定年で報酬が激減するのはおかしいと指摘しています。成果主義を標榜しながら、能力が下がっていないのに報酬を下げるのは矛盾です。会社の品格とは従業員を大切にする度合だと得心しました。備忘します。

会社の品格 (幻冬舎新書)

会社の品格 (幻冬舎新書)

社員こそ最大の投資家。選んでもらえない会社に未来は無い…人材市場でも。同じことが起きてます。社員から選ばれる会社と、社員が流出していく会社。優秀な社員から選ばれる会社と、 選ばれない会社。それがどんどん顕在化しているし、今後最も顕著になっていくでしょう。(42ページ)
…もっと社員の情報開示を広げていく必要があります。…本来的に自らのキャリアを経営して行く「マイカンパニー」になることができます。そうすればさらには、会社と「相互選択」の関係を創り出し、本来の能力をフルに発揮できる環境手に入れることができるようになります。(46ページ)
商売そのものが実はコミニュケーションです。そう考えれば、会社は、メッセージを発信するための器、発信基地ということになります。会社が扱っている商品やサービスと言うのは、そのメッセージを伝えたい人に、伝わりやすくするためのメディアなのです。(54ページ)
…「売り上げ」というのはマーケットからの共感やうなずきの総量です。メッセージを発信した結果として得られるものなのです。これだけみんなが頷いてくれた、そうだそうだ、と言ってくれた、そうすると売りが数十億円、数百億円にもなっていたというのいう話なのです。そして「利益」というのは市場から与えられた自由や未来です。来年以降も継続して活動してもいいよ、という市場からのメッセージです。(55ページ)
もちろん今の働き手が金やポストに全く関心がなくなっているわけではありません。それ以上に、仕事そのものへの興味関心の方が強まる傾向になってきているのです。仕事そのものに充実感を得られるか、仕事そのものが自己の成長につながるか…こういった仕事の意味報酬を金銭報酬以上に多くの若者が求めているのです。(124ページ)
働く側としては、無意味な会議で自分の時間を剥奪されたりするほど、腹の立つ事はありません。結果として、会社の期待感や、仕事のモチベーションを失い、会社を見捨てると言う判断を下すことになる(156ページ)
女性活用を唱えるという品格のなさにそろそろ気付くべき。女性の社会進出が広がる中で会社が女性をどうとらえているか、という点でもしっかり見つめておく必要があると考えています。女性活用をうたう会社は少なくありませんが、私は本来的には活用という言葉を使うこと自体、すでに品格の欠如を感じざるをえません。(172ページ)
多くの会社では一旦60歳で定年をし、業務委託のような形で雇用契約を延長してケースが主流です。その際には年収は定年前の4割、5割に設定されるというのが今の流れになっています。しかし、成果主義的な傾向が強まる中で、そもそも定年制というのは、論理矛盾があるということにそろそろ気付かなければなりません。…定年、再雇用の流れで言えば、明らかにおかしいのは、定年した翌日から給料が半分以下になってしまうことです。60歳まで高い報酬で報いておいて、定年の日を境にいきなり報酬が半分になる。ここで本人の能力に何か大きな変化があるのでしょうか。たった一日でその人の価値は半減してしまうのでしょうか。成果主義を標榜しておきながら、定年前後で報酬が半減してしまうシステムに私は大いに疑問を感じます。(178ページ)
必要なのは誰もが当事者意識を持ち、自己責任意識を持ち、日々を生きることだと思うのです。会社であれば、 1人1人が会社の品格に責任を持つ。 1人ひとりの品格が最終的には会社を品格を生む。そう認識できるかどうかです。これは社会も同じです。誰がのせいにするのではなく、それは自分のせいなのだと、そういう国にしてしまっているのは、自分の責任でもあるのだと。ひとりひとりが当事者意識を持つことから全てが始まると思うのです。(210ページ)