活眼活学

「活眼活学」を読みました。野村克也さんの推薦本です。野村さんが監督になりたての頃、話が下手で、どうにもならなかったそうで、安岡氏に相談したところ「聴衆は野球の話を聞きたがっているのだよ」といわれ、開眼したそうです。安岡正篤氏といえば自民党の精神的支柱として記憶していました。はじめて彼の著作を読みましたが、三国志史記道元、パンセ、ファウスト陽明学論語孟子、いろいろ出てきます、碩学です。面白いエピソードも、そこそこに、ちりばめられており飽きはしませんでした。「裏長屋の呑んだくれ大工」の話は秀逸です。大家さんが店子の呑んだくれ大工に、夜の酒の面倒はみるから、昼間はタダでほかの店子の家の修繕をしてくれといわれ、そのようにすると、他人から感謝され、ほめられ、心を入れかえて立派な大工になったという話です。(p.105)人間は心掛けひとつで、真剣にやりさえすれば、どんなにでも道が開けることを得心しました。しかし、現代の若者は基礎知識が不足しているので、まず何を言っているのか理解できないことが多いと思います。備忘します。

[新装版]活眼 活学(PHP文庫)

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…伯楽、恐縮すると思いのほか、感嘆久しうして曰く、「彼はそこまで達しておりましたか。…」と言い出しました。「…馬よりも大事なもの、即ち天機というものを観ているのです。…」…果たして千里の名馬であったということであります。(p.86)
「京の三条糸屋の娘」…「妹十八、姉二十」…転句がだらだらしたんでは、あくびが出る。…「諸国大名は弓矢で殺す」…いったい何のことかと思うと、「糸屋の娘は目で殺す」、結局なるほどと肯かせるような、人生もこうだと。(p.173)