アグリビジネス進化論

アグリビジネス進化論」を読みました。副題は「新たな農業経営を拓いた7人のプロフェッショナル」です。農業法人の成功譚です。これを読んで「さすがだな」という思いと、「こんなものか」という思いが交錯しました。インタビュアーの能力にもよりますが、突っ込みがやや甘いのかもしれません。私自身が農業に取り組んで、役に立てるかどうかは、全く2つの見方になります。ここで取り上げられている経営手法は特別なものではありません。それが「スゴい経営だ!」ということは、農業経営はひどく遅れているのかもしれません。まあ二次情報なので直接これらの経営者に会ってみないと何とも言えません。この本からでは九条ネギの「こと京都」山田敏之社長、「早和果樹園」秋竹新吾社長のお二人の話に心惹かれました。備忘します。

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この毎週というのがキモです。一般に農業会社は月次決算だと思いますが、私たちは週単位で集計し、チェックしています。年間53種53回チェックするのです。こうした仕組みも、時代の変化に柔軟に対応するためには重要だと考えていますページ68
…利益を追求するのは、仕組みの構築によってです。生産、加工、流通販売を一元的マネジメントすることで利益を出しやすくする。仕組みで考えるという点が他の農業法人と我々の考え方が全く違うところです。ページ72
販売の情報は、ビックサイトや幕張メッセなどで開催される「食の展示会」への出展を通して集めています。これが一番いい情報収集手段だと思います。食の展示会には新たな食材や情報を探し求める業者が集まってきます。ページ102
農業は第一次産業に特化するのが最も自然です。その上で、第二次や第三次の部分は商工業者と手を組む。農商工連携の中でしっかりプランを立てて取り組むのが現実的ではないでしょうか。ページ123
海外で食のローカル化が進む背景には何があると思いますか? ズバリ、国防の意識でしょう。欧米を訪れて感じるのは、もし戦争が起きた場合に重要なのは喰べ物やエネルギーの確保だということで、自国で生産されたものを食べる、あるいは自国でエネルギーを賄うという意識が国民全体に浸透していることです。ページ170
考え方は千差万別ですが、価格だけを求めてくる相手とは取引しない理念の共有ができるというのは共通の要件になっています。ページ196
ITについてはイノベーションを起こしたもの1つのツール。ICT 、AI、ドローンなど今後伸びていく分野という意識があります。正しい農業者がIT ICTを全く理解できていないのが現実、生産者自体がITでどんなことができるのか分かっていないという指摘からも、活用する農業者のITリテラシーの向上が課題となっていることが伺えます。ページ200