終わった人

「終わった人」を読みました。内舘牧子さんの小説です。普段、小説は読まないことにしていますが、とても気になったので読んでみました。怖いもの見たさかな。「定年って生前葬だな」の言葉から始まります。言われてみればその通りです。子会社への出向など、主人公と境遇も似てます。寄る辺ない心理状態はまさにこの小説の通りです。私は自分の会社を設立したので「行くところと」と「やること」があったから少し救われていました。でも主人公と同じように私も仕事で「成仏していない」ことには違いありません。だから会社作ることにしたのだと思います。
友人の台詞「死んだ女房の口癖思い出してさー、俺がなにか落ち込んだりして、昔はよかったなって嘆いたりするたんびに、女房は東京の下町の女だから、べらんめぇで、しゃらくさい、思い出と戦っても勝てないんだよ」。たしかに、思い出と戦っても勝てません。勝負とは「今」と闘うことだと痛切に思いました。救いはありますがハッピーエンドでもなく定年当事者としてはとても重い内容でした。みなさん、定年前に読んでおくと衝撃に耐える力がつくかもしれませんよ。

終わった人 (講談社文庫)

終わった人 (講談社文庫)