聞く力

「聞く力」を読みました。阿川佐和子さんのベストセラーです。実に楽しいエッセイです!心が疲れている方にお勧めします。 良い話を聞きたいとか相手と親しくなりたいと考えているなら、話上手になるより「聞く力」を身につけることが重要だと述べています。相づちや質問の技術をエピソードの中で、具体的に、わかりやすく説明しています。聞く極意は「相手のテンポを大事に」「知ったかぶりをしない」「喋りすぎは禁物」などなど。さらに面談中は、流れにまかせることが特に大事だそうです。
有名な作家のお嬢さんですから、たくさんの偉い人と若い頃から知り合いで、インタビューで緊張することもないのだろうと想像していました。さにあらず、初期の頃の慌てぶりが赤裸々に語られています。作者は、週刊文春で長期にわたりインタビュアーを続けて「聞く力」を身につけたものと思われます。エピソードひとつひとつがとても面白いです。鶴瓶ショーケンの話は特に面白かったので、バックナンバーを取り寄せたくなりました。 文中に「サイコロキャラメル」がさりげなく書かれてます。同年代なんだなあ‥ 備忘します。

聞く力―心をひらく35のヒント ((文春新書))

聞く力―心をひらく35のヒント ((文春新書))

まさに目からウロコの驚きでした。質問をする。答えが返ってくる。その答えの中の何かに疑問を持って、次の質問する。また答えが返ってくる。その答えを聞いて、次の質問する。まさにチェーンのようなやり取りを続けてインタビュー進めていくことが大事なのだと教えられたのです。ページ53
私はその時、肝に銘じました。自分で決めつけてはいけない。こっちの話が面白い違いない。あっちの話をそんなに面白くないだろう。聞き手が勝手に決めつけることが、どんなに危険であるかを、つくづく思い知りました。ページ72
人は皆、自分と同じ顔で、喜んだり哀しんだり寂しがったりするとは限らない。私が楽しくなさそうに見える人は、心の中で飛び上がるほど楽しいと思ってるかもしれない。だから勝手に決めつけるのはよそうと。ページ120
ある人に教えられたのは、相手の言ってることがわからなかったらこ聞けばいいんだよ。「please be more specific」てね。つまり「具体的にどういう意味ですが、こういう問いかけの仕方なら、私の英語力の欠陥を知られることなく、しかも最初の答えより分かりやすく答えてくれるはずだというのです。ページ160
いずれにしても相槌や、相槌ほどの短い言葉を挟むことにより、相手の話をさらに円滑にすることは可能です。必ずしも聴きたいことを1つず、主語、述語のついたきちんとした質問構文にしなくてもいいのです。いわば、相槌とは、燃え盛る薪ストーブの火を、じっと見守って、少し弱くなりかけたときに時々扇ぐ団扇のようなもの。ページ161
「もうなんだか最近、めっきり年をとっちゃって。物忘れは日増しに激しくなるし、目もよく見えないし、耳も遠くなって…。インタビューの仕事なんて、そうな続けられないかもと思うのよ」すると ババールは私と目を合わせないまま、手際よく仕事を続けながら、「何おっしゃってるのか、私にはよく意味がわかりませんが」低い声でそうつぶやくと、ふっと顔をそらすのです。そのさりげなさ。クールに見せかけつつ、こちらの気持ちをお慮る気遣いぶり。このセリフは使えると思いませんか? 今後、どこかで試してみようと思っています。ページ176
小学校2年生の時、忘れもしない、遠足の作文を書かされて。でも遠足って、出かける前から嬉しいから、前の日のことから書いたんですよ。おやつを買いに駄菓子屋へ行って、50円までという決まりだったから、サイコロキャラメルを1つと、チョコレートと、あと何しようかと迷ったこととか、家に帰ってリュックに詰め込んで、枕元において寝るんだけど、興奮してなかなか眠れなくて、どうしようかと思っていたら…ページ224