10分で読む日本の歴史

「10分で読む日本の歴史」を読みました。片手落ちの日本通史です。例えば「大化改新」の記述が一切ありません。曽我氏を滅ぼした日本史に残る大事件です。天智天皇天武天皇の存在と確執が国内のエポックであったこと、天智天皇の対外政策(朝鮮政策)が東アジアに与えた影響も大きな歴史的事実です。それを無視するとは、著者、NHK政策班の見識を疑います。あきる野市で発見されたと言う憲法草案は、この短い通史には必要のないものです。見識を疑います。不平等条約の改正についての記述を読んで、欧米列強の植民地政策に粘り強く交渉した日本人に敬意を評します。備忘します。

10分で読む 日本の歴史 (岩波ジュニア新書)

10分で読む 日本の歴史 (岩波ジュニア新書)

幕府はアメリカに次いでオランダロシアイギリスフランスとも同じようなないような不平等な条約を結びました。日米修好通商条約が対等な条約に改正されたのは1911年。50年以上も後のことでした。ページ124
東京都あきる野市五日市の農家の蔵から憲法案を記した文書が発見されました。五日市という地名からこの憲法案は五日市憲法草案と呼ばれています。 ページ137
1892年、外務大臣になった陸奥宗光は、条約改正の交渉に乗り出しました。交渉相手に選んだのは、イギリスでした。当時のイギリスは、日本と同様に東アジアへの進出を強めているロシアを警戒していたため、利害が一致していたのです。イギリスとの交渉の末、1894年日清戦争直前に、陸奥はついに治外法権の廃止に成功します。しかし関税自主権の回復がまだ残っていました。ページ169
1904年に始まった日露戦争で大国ロシアを破ったことから、日本の国際的な地位は上がり、条約改正を有利に進めることができるようになりました。その時の外務大臣,小村寿太郎は、1911年関税自主権を回復することに成功しました。不平等条約を締結してから50年余が経っていました。こうしてアジアの中に、欧米に肩を並べるまでになった国、日本が誕生したのです。ページ170