逆境の中にこそ夢がある

「逆境の中にこそ夢がある」を読みました。5月に熊本で、明治製菓の大先輩、化血研の木下理事長から紹介された本です。痛快な成功譚です。現、熊本県知事、蒲島郁夫氏(1947年生まれ)の自伝です。ワクワク、ドキドキして読みました。1954年生まれの私には、この「青雲の志」がよくわかります。貧しいが、将来は明るいと単純に信じていた時代でした。読んでいる最中、私自身、蒲島さんのように大成功はしませんでしたが、自分なりに良くやったと勇気づけられました。これまでの人生に後悔は感じませんでした(笑)。
熊本の農家、貧乏人の子沢山で極貧の生活の描写から始まります。満州で警察官をしていた父が日本に戻ってから仕事をしないこともあり、食べるものにも事欠く生活です。新聞配達をしながら何とか高校を卒業して、会社勤めするものの1週間で退職。その後、農協職員になるも、米国の農業研修のために退職。二年ほど農奴のようにこき使われて、帰国しました。やはり米国で勉強したいと、お金も無いのに留学、豚の精子の保存法の研究で博士号を取得しました。そこから驚いたことに、政治学を学ぶためにハーバード大学に入学、奨学金とバイトで卒業します。帰国後、政治学筑波大学教授、東京大学教授になりました。絵に描いたような出世物語です。たまたまの連続で成功したように書いてありますが、そんなことはなくて多分蒲島さんの人柄が良かったのでしょう。彼自身の言葉では「夢を叶えるには、夢に対して一歩だけ前に踏み出すことが大事。この一歩を踏み出せるかどうかで人生は大きく変わる。人生には誰でも5回の大きなチャンスが来るが、そのチャンスに一歩踏み出せるかどうかだ」と述べておられます。
本書はここまでですが、その後、2008年4月16日、熊本県知事になりました。本書は2008年2月の出版なので、選挙対策用の自伝だったのかもしれません。備忘します。

逆境の中にこそ夢がある

逆境の中にこそ夢がある

…考古学クラブでは原口先生から色々なことを教わったそんな原口先生の口癖は、「人生は短い」である。そして、その言葉のあとに、きまって次のようなセリフを付け加えた。「何でもいいから自分の歴史を残しなさい」この言葉は、その後私の頭の中で何度も繰り返される言葉となった。ページ89
夢に向かって歩み続けるには、夢を追うだけで、実際には何もしなかったこれまでの自分を、どこかを境に変える必要があることを私はこの時実感した。すでに記したように、私は当初「様子見入学」の資格であったからこそ、大学に残るため120パーセントし力で、人一倍努力したのだ。一度でも構わない。120パーセントの力を出してみるといいだろう。必ず結果が残って、今度はその結果を落とさないために、その力で頑張るのがベーシックになるのである。ページ164
そしてハーバードで、私のような貧乏学生にも、差別を一切しないで暖かく接してくれた人たちは、皆それぞれ競争勝ち抜いて成功している。これは決して偶然ではないのだ。そのように優しい気持ちを持っているということは、成功の条件の1つなのである。ページ202
このように一つ一つのピースが繋がりあっているから、1つ欠けても今の私が成立しないのだ。そして、このように人との出会いを大切にできたのは、私自身が、回り道が多い人生だったからではないかと思っている。回り道には、その回り道を必死になって走っていれば、必ず助けてくれたり一緒に走ってくれたりする人物がいるのだ。私の人生はまさにそうである。ページ211
本書で私が最も伝えたかったのは、逆境こそが人生の成功の鍵になるということである。私は子供の頃から貧乏という絶対的な逆境だった。人生のスタートラインがもともと他の人たちよりも、ずっと下にあったのだ。しかし、これこそがチャンスである。今いるポジションが悪ければ悪いほど、下であれば下であるほど、そこから飛び出せる距離は大きいのだ。逆境こそ、そういった大きな飛躍ができる幸せの源泉なのである。ページ229