旅のプラズマ

「旅のプラズマ」を読みました。清酒の研究でネットサーフィンしているときに、たまたま見つけて古本で買いました。著者は首藤和宏氏です。長く銀行に勤務され、定年後に、日本、世界を旅行した折りの紀行本を著しました。プロの書き手ではありません。2006年発刊で70歳の頃書いたようですので現在85歳です。ブログによれば今もお元気のご様子です。
ヨーロッパ、コスタリカ、韓国、中国での出来事を淡々と述べています。博学で、かなりのインテリです。粘り強くて真面目で几帳面な感じがします。高度成長時代を経てバブル崩壊を経験した後悔も感じられます。日本の紀行では、秋田県八郎潟町高知県安芸市をとりあげています。秋田では芭蕉、蕪村、子規の道程を辿っています。高知では「鯉のぼり」の作曲家、弘田龍太郎を題材に史跡を訪ねています。曲名、歌詞を読めば誰でも知ってる曲ばかりで大変驚きました。今、放送中のNHK朝ドラ「エール」のモデル、作曲家、古関裕而さんよりも、日本人が曲をよく知ってる作曲家ではないかと思いました。備忘します。

ラテン民族は、我々の日本から1番遠いところにいると私は思っている。「食べて、歌って恋をして」というのは我々にとって望むところで、できればそうありたいと思っているのだが、それを前面に出した生き方は日本には恥じらいが先にでて無理である。ページ28
もはや多、くを記憶するのはやめましょう。アンニョン ハセヨ(こんにちは)、チョンヌ○○イムダ(私は〇〇です)、カムサ ハムニダ(ありがとう)、チャルモッゴッ スムニダ(ごちそうさま)、アンニョン ヒ ケセヨ(よさよなら)の5つの言葉だけを覚えていきましょう。ページ60
…真夏のうだるような暑さの中で、濃い緑の稲穂が敷き詰められているような光景を見ると、蕪村の句が浮かんでくる。「百姓の生きて働く暑さかな」この句ほど人間の生き様を強烈に詠った句はないと思う。ページ125
弘田龍太郎は…たくさんの名曲を残した…「雨が降ります / 雨が降る / 遊びに行きたし傘はなし / 紅緒の木履も緒が切れた(北原白秋)」ページ142