売り渡される食の安全

「売り渡される食の安全」を読みました。本書は、CHO技術研究所で一緒にお手伝いしている石川さんから紹介していただきました。恐ろしい現実を知りました。種子法が改正され、農業試験場からの種子供給が民間企業に委ねられたとのことです。これにより、種子価格の高騰と多様性の減少により、病害虫のリスクヘッジがなくなると述べています。また、ラウンドアップを使用しているのは日本だけだそうです。さらに、知らないうちに遺伝子組み換え食物を食べているかも知れないという指摘に驚きました。それにしても海外の巨大企業(モンサント)のやりかたはたくみです。備忘します。

売り渡される食の安全 (角川新書)

売り渡される食の安全 (角川新書)

…種子は私たちが毎日食べているお米の大元であり、それを国が責任を持って栽培、増殖させることを義務づけてきたのは種子法だ。その義務がなくなった。つまり国に委託された都道府県の農業試験場は、もう種子を育てなくてもいい、と言うことになる。ページ35
多様な品種が存在するからこそ、予期せぬ気候変動や突然のウィルスの感染、病害虫の大量発生などから、生きていく上で欠かせない米を救うことができる。ページ49
実はイチゴに限らず、日本の農家の栽培する野菜のほとんどがF1品種にとって変わられて久しい。F1品種でない野菜はマメ科とキク科だけだと言われていることで、具体的にはエンドウ豆、インゲン豆、そら豆、ごぼうなどだ。ページ60
優良者が保障された公共の種子を安価で購入できた時代から、一転して種子は生きている命であり、絶えず変化するものである。前述したように国連でも農民の種子の権利を明らかにされている。人類の遺産であり、皆のものである。それを知的財産権の対象として企業の金儲けの対象にしてると言うのはやはりおかしいのだ。ページ98
ラウンドアップがほとんど効かない雑草はいつしかスーパー雑草と呼ばれ、農家を再び悩ませ、嫌われる存在となった。このスーパー雑草は、繁殖力の強いだけでなく、生育していくスピードが桁違いに早い。ページ114
ラウンドアップがガンを引き起こす可能性があることを、モンサントが10数年にわたって認識していたことを証明する、モンサント内部の機密文書を最終的に陪審員へ証拠として提示することができた。ページ142
ラウンドアップが使用されなくなれば、ラウンドアップへの耐性を持った遺伝子組み換え作物の栽培できなくなる。そうした観点のもとで、即効性があって強力で、なおかつ人体や農作物、土壌の健康も良好な状態で守れる新田の除草剤ファームセイフを、どうにかして日本へ試験的に輸入することができないものかと私は考えている。ページ147
今日本では行政府の長が率先して遺伝子組み換え食品の安全性を謳い、ゲノム編集食品も無条件で解放しようとしている。有機栽培に対するメディアの意識も低く、国民にも違いが浸透していかない。世界から離されている、と言うより世界の流れに嬉々として逆行しているのだ。ページ185
…私たちは日々、遺伝子組み換え作物によって作られた食品を口にしている可能性が非常に高いことになる。しかも全く気づかないうちに、である。ページ200
つまり種子法が廃止された今、地方自治体では、種子条例が最高規範となる立派な法律なのだ。種子条例が施行されれば、たとえ国でもそれを覆すには、法律に反しているとして、その地方自治体を裁判で訴えるしか手段がない。ページ220