老人力

老人力」を読みました。5年以上前に学芸大学の古本屋で購入したようです。300円と鉛筆書きがありました。還暦前に還暦を怖れて買ったのだと思います。私も著者がこの本を書いた頃の年齢になりました。現在65歳、淡々と読める年齢になりました。「老人の特徴としてはものを忘れる、体力を弱める。よだれを垂らす、…二重視、物語の繰り返し」みなあてはまります。「老人力」がついてきたのだと思います。記憶の悪さは若い頃からで、人の名前はすぐ忘れるし、ずっとボケていたようにも感じます… 現在、一生懸命仕事に取り組むのですが、もう一人の自分が「なんちゃってね」とつぶやきます。「老人力」そのものです。備忘します。

老人力 全一冊 (ちくま文庫)

老人力 全一冊 (ちくま文庫)

みんなどうせボケていくんだから、もうちょっと良い言葉を考えよう。ボケ老人と言うとなんだかだめなだけの人間みたいだけど、ボケも1つも新しい力なんだから、もっと積極的に、「老人力」なんてどうだろう。いいねぇ、「老人力」ということになり、人類は初めてボケを1つの力として認知することになったのである。ページ15
老人の特徴としてはものを忘れる、体力を弱める、、よだれを垂らす、視力のソフトフォーカス、あるいは目の前のものに二重視、物語の繰り返し、等々いろいろあるが、それをみんな嫌がる。ページ23
でも幸いなことに、歳をとると人間には老人力がついてくるのだ。老人力がつくとどうしても論理を支える力が抜けていき、「まぁいいか」と言う本音がやっぱり、歳をとると、どうしても人生が見えてくる。つまり有限の先が見えてくるわけで、その有限世界をどう過ごすかという問題になってくる。ページ105
ともかく楽しむことが1番、嫌なものはとりあえず放っておけばいいんだ、どうせ全部ができないんだからって感じになって、でも、これもやっぱり老人力なんですね。ページ192
そうか、老人力は結局は芸術に重なるのか、と思って感慨無量だった。老人力は田舎の力だ。しかも芸術である。ページ279