影響力の武器 戦略編

「影響力の武器 戦略編」を読みました。電気工事士の受験のために膨大な時間を使っていました。今日から読書、書評を再開します。販売や組織運営の心理的側面を分析した本です。ノウハウ本なのですが、研究の根拠が示されています。また、実際に応用する場面が丁寧に記されていますので、実践的な応用が可能です。知っていることは多いのですが、改めて人の行動の不思議さを思い知らされました。損得だけで人は語れません。備忘します。

…効果的なのは、数字を公表して、ある考えや行動の広い浸透を示すことです。…ブログを書いているなら、過去数ヶ月間で1週間の訪問者が200人から1000人近くまで増えたと言う場合に、そのような短時間で訪問者が5倍になったことを強調してみてはいかがでしょう。ページ9
…問題となる行動に対する社会規範を最初に相手に伝えておき、その後、その規範から外れた人たちの特徴を説明すれば、メッセージの説得力が上がると言うことがはっきりわかります。ページ20
相手の注意を引くことが説得の戦略に欠かせない要素であることを踏まえれば、人に影響与えようとする場合、相手の名前はあるいはせめて、その要求やメッセージが相手の名前と何らかのつながりを持っていることを示すのが合理的です。ページ32
新しい同僚、新しいチーム、新しい部署の仲間と共有している一般的な類似性に焦点を当てる代わりに、特徴的な共通点を見つけて、それを強調するようにすすめています。つまり焦点を当てるべきは、新しい同僚との共通点のうち、他の集団との間ではあまり共有されていない特徴です。ページ37
…数値目標には、やりがいと到達可能性の両方を保障すると言う長所があります。要するに、幅のある数値目標を用いると、目標の到達可能性とやりがいの両方から生じる達成感を得られるので、ある目標に再挑戦しようと言う気になるのです。ページ92
返答期間を長めに設定すれば提案がより魅力的になると言う誤解を捨てて、非常に短い期限設定を行うべきだとこの研究は教えています。ページ103
あまり条件の良くない地所を売り出そうとしている不動産業者なら、その地所の将来性により強く焦点を当てるような工夫をすると、見込み客の心により好ましいイメージを生み出せるかもしれません。ページ115
メッセージの受け手が、メッセージを受け取った後に、心の中で何を考えるかが重要なのです。ページ126
多くの場面において最も説得力があるのは、専門家自身が確信を持てない中でする提案や助言であるということがわかっています。とりわけ、はっきりとした答えが存在しない問題に対して行われる助言については、このことがよく当てはまります。ページ132
自らの影響力を増すためにできるちょっとした工夫は、ただ真ん中の席に座ると言うことになります。また、集団でスピーチやプレゼンテーションを行うときに、聴衆に最も受け入れてもらいたい発言を真ん中の位置にいる人に言わせるのが良いでしょう。…真ん中の位置にある品物が選ばれる主な理由は、真ん中にある品物と言うのは、一番人気があるから、あえてそこに置かれているんだろうという、人々の思い込みにあったのです。ページ137
交渉の場面では、どこを会場にするかといった一見ささいな決定が、最初に思うよりもずっと大きく結果を左右すると考えられます。ページ145
…自分のパワーを思い出すことが、昇進のための面接を受けたり新規顧客に売り込みをする事に使えることがはっきりしました。ページ150
職場での贈与プロセスを最適化するための鍵は交換のお膳立てにあり、その中には結果を大きく大変重要な手順が2つ存在します。1つは、最初に自分から親切や情報やサービスを提供すること。そしてもう一つは、その親切や情報やサービスが、至極当然の公平で互恵的なルールの1部なのだと、はっきり言葉で示すことです。ページ164
親切にしてくれた相手に心からの感謝を表明するだけで、その後、その人が見ず知らずの人に親切を行う割合が2倍以上になったのです。ページ168
人が頼み事をするときは、相手がいいよと言ってくれる見込みを低く見積もる傾向があると考えました。ページ178
端数のある提示額を示されると、人は相手が交渉の準備に時間と労力を費やしていると感じやすくなり、それ故、出してきた端数のある数字には、それを支持するしっかりとした根拠があると考えやすくもなるというものです。ページ189
…「最初の提示額に端数を入れる」を行えば結果がいっそう大きく変わることがわかります。ページ190
…しかし、どの場面でも、余計な美点の追加は実際にはプラン全体の魅力を減らし、書い手が出しても良いと思う金額を下げていたのです。ページ208
…何かの目標を達成するために人を説得して資源を提供させる場合は必ず、その資源をどのような相手に使うのかを識別可能にする特徴と、その資源で何をするのかを識別可能にする特徴の両方に、説得する相手の意識を向けさせるべきなのです。ページ221
…人間が「耳を傾け、そこから学び、利用するのは、肯定的な情報よりも否定的な情報であることの方がずっと多い」と結論づけています。ページ250
コリンズは「ビジョナリーカンパニー衰退の5段階」の中で事業が失敗する主な理由として、リスクの拒絶、無用の性急性、そして知的訓練の欠如に焦点を当てているのです。ページ252
結果は興味深いものでした。レビューがいつ書かれたかを示すヒントがない場合には、肯定的なレビューよりも批判的なものの方が大勢の人から役に立ったと評価されていました。ページ261
インターネット上で書評を書いている人も、自分が読了直後に記事を書いていることを明記する潜在的なメリットを意識しましょう。ページ263
ですから、主張の数がいくつの時に相手に最も良い印象与えるのかと言う問いへの答えは、「三つ」ということになりそうです。ページ286