梅原猛訳「古事記」

梅原猛訳「古事記」を読みました。練れた日本語訳です。「古事記」は歌謡であると論じています。特に本書は歌の訳が秀逸です。これまで読み飛ばしていた歌を丹念に詠むことができました。
「神風の 伊勢の海の 大石に 這いもとほろふ 細螺の い這ひもとほり 撃ちてし止まむ」
(訳:神風の吹く伊勢の海の大きな石を這い回ってるヤドカリのように、敵の周囲を這い回って、さんざん撃って殺してやろう)(ページ99)
古事記」原文(岩波文庫ワイド版)を参照してみると省略している部分がかなりありますので、その点を考慮して読む必要があります。
解説「古事記に学ぶ」で、「古事記」原作者を柿本人麻だと推定しているのには驚きました。またアイヌ語との類似性に言及しています。
参考文献は、「口語訳古事記」(三浦祐之)、「古事記講義」(三浦祐之)、「古事記の物語」、「古代史研究の最前線 古事記」、「古事記の不思議な1300年史」、「ぼおるぺん古事記」、漫画「古事記」(青林堂)「マンガ古事記」(河出出版)などです。

古事記 増補新版 (学研M文庫)

古事記 増補新版 (学研M文庫)