カフカ・ホフマンスタール

カフカホフマンスタール」(週間朝日百科 世界の文学68)を読みました。「ペスト」とともに不条理文学の傑作「変身」の背景を知りました。カフカは、ドイツ生まれのユダヤ人です。生前は有名な作家ではなく、死後30年経って実存主義の花形となりました。安部公房の作品にも大きな影響を与えていると思います。20世紀のはじめに現代の管理社会や孤独を描いています。おそるべき先見性だと思います。思わず「変身」を読み終え解釈に迷いました。感想を備忘します。
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カフカ「変身」を読みました。不条理小説の傑作と言われてます。いつか読もうと思ってました。読後、正直なところ小説の意味がつかめませんでした。
主人公グレゴールはある日ベッドで目を覚ますと自分の姿が「虫」になっていた。部屋のドアを開け、変わり果てた姿で家族と対面したグレゴールの数ヶ月の物語が始まる…衝撃的な書き出しです。
家族の驚きと本人の平静の中、家族は、恐れや世間体の悪さからグレゴールを「人間」から「虫」に認識を変化させます。そして厄介者として排除しました。「虫」が死んで、明るく幸せな日常がはじまる。これは不条理です。あれほど家族思いだったグレゴールに何たる仕打ち!
あえて意味を述べれば、人間は言葉で意思を正しく伝えることができなければ、他人に誤解されてしまいます。転じて、ネット世界の「炎上」に通じるものがあるかもしれません。管理社会の孤独を教えてくれているのかも知れません。
この小説の解釈をこれからも続けていきたいと切に望みます。私自身の存在意義の問題だと直感しています。