ウェルビーイングがありました

「むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました」を読みました。先週、神奈川大学の小倉教授からSDGsのレクチャーを受けました。説明の中で、「SDGs③は英文では【Good Health and Well-Being】である、これを【すべての人に健康と福祉】と訳しているのは誤りである」との指摘がありました。確かに「満足と幸福」を「福祉」と訳すのには無理があると感じました。その時に「ウェルビーイング」という言葉をはじめて強く意識しました。
そんな中、株式会社クラブビジネスジャパンで本書の読書会を行うとの告知があり、早速購入して、読んでみました。
著者の「お年寄りのロールモデルを作っていくことが必要」に賛同します。「枯れてたまるか」に影響されて生きている私自身が生涯現役のロールモデルではないかと思います(笑)。実は、67歳にして、未だワクワク感や好奇心を失わない自分に驚いています。また、「たまたま生まれた縁によって人生がガラリと変わり、そこから運命が展開していく」その通りです。その指摘は経験的に全く正しいです。
古事記」愛好家から一言。本書では「する」でもなく「なる」でもなく「いる」と述べています。しかし、丸山眞男によれば、世界の創世神話には、「つくる」「うむ」「なる」の三つがあって、古事記の場合、「なる」が古層にあり、それは、主体を必要とする「つくる」や「うむ」とは違うと述べています。備忘します。

あるやり方が合う人もいれば、合わない人もいる。これがウェルビーイングの前提であり、っやこしさです。P.14
さらに長いスパン、人生としてのウェルビーイングを見るならば、過去を振り返ったあときに良かったなと思えて、この先の未来を見据えたときに楽しそうだなと思える、というのが…ウェルビーイングです。P.17
シンプルに圧縮するならば、「満足」と「幸福」の二つが揃えばおおむねウェルビーイングであろうと考えられているわけです。P.34
…日本的ウェルビーイングの原型は「ゼロに戻る」にあると考えています。P.42
日本の文化にはNobodyとNegativeを愛でるという特徴がある。存在しないものを讃え、否定を受容する歴史を積み重ねてきた精神性が、日本的なウェルビーイングにも繋がっている…p.49
西洋の「上」を目指す思考とは対照的に、日本の思想・文化は古来ずっと「奥」に重きを置いてきた 。「もっと上へ」ではなく「さらに奥へ」の精神性が日本らしさである。P.69
今よりももっと良い人生があるはずだ。そうした思考は確かに前へと進む足がかりにはなりますが、前や上ばかりを見ているとすぐ目の前、今日一日のことを人間はおろそかにしてしまいがちです。…いつでゼロに立ち戻っていける自分を積み重ねていく日々にも、十分に価値がある…p.82
ただ、「いる」ことに価値がある。日本的ウェルビーイングの可能性を探究していく上で、この概念は非常に重要なポイントです。P.94
ウェルビーイングを手に入れようと思ったら、まずは持っているものを手放そう…p.108
…本気で人生を楽しもうと思ったら何かにワクワクを感じられる好奇心がないと。P.139
お年寄りのロールモデルを作っていくことが必要かな…若いときはいきいきとして素敵だったけど年を取ったら老いぼれてしまった、という世間の加齢へのイメージを変えていきたいんですね…p.146
ウェルビーイングは「因果」よりも…「因縁」に近いものだろうと感じています…人は周囲の人やものとの繋がりによって生きています。たまたま生まれた縁によって人生がガラリと変わり、そこから運命が展開していく。P.152
「自分より大切なものを見つけてください」p.164
人生が展開していくウェルビーイングなご縁とは何か?ひとつの仮設が「移動の多様性」です。P.168
…在宅や会社よりも近所のカフェで仕事をした方が、仕事へのエンゲージメントが高まる…p.174
…いろんな場所で遊んでいる人はウェルビーイングが高い…p.176