労務管理の対応策

仕事上の読書です。裁判事例で使用者側が敗訴した例を取り上げて、「なぜ敗訴したのか、どうすれば勝訴できるのか」、使用者側の対策と準備を法律や判例にのっとって解説した本です。私が社長として危惧している部分を詳細に読んでみました。項目は以下の5項目です。すなわち「試用期間中の解雇」「賃下げ」「普通解雇」「配転命令」「就業規則の変更」です。備忘します。

裁判事例から見える労務管理の対応策

裁判事例から見える労務管理の対応策

…試用期間を設ける会社が多く見られます。この試用期間は、法的には解約権が保留された労働契約期間と一般的に考えられています。…試用期間中の解雇時湯としては、…・勤怠の不良・業務遂行能力・言動の不適格・協調性の不足・経歴詐称……入社時の誓約書に、経歴に虚偽記載がない旨を明記しておくことが必要といえます・ページ29

企業は毎年の人事考課の結果により降給をさせたり、役職を外して手当てを減らしたり、また違反行為等による懲戒処分として言及を行ったりするばど、人事権のなかで賃金減額を行うことがあります。これらについて通常あらためて従業員から同意をとるといった対応はしません。…昇降給の規定が就業規則に内容とされ、不合理なものでない限り、労働契約の内容となります。その合理的な人事制度に基づく降格・賃金に引下げについて、労働者の同意は不要となります。ページ82

勤務成績・態度・勤怠の不良、協調性不足等を理由とした普通解雇をめぐる裁判では、能力不足等の程度はもちろんのこと、企業側が改善を促す機会をどれだけ与えたか、つまり改善の見込みがないといえるだけ具体的な改善指導を一定期間行ったかどうかが重視されています。ページ175
配転命令が有効と認められるには、業務上の必要性があるか。不当な動機・目的がないか、労働者にとって通常受け入れるべき程度を超える著しい不利益はないかという点を充足することがポイントとなります。ページ221
就業規則を制定し、変更することは基本的には使用者の権利として認められるものですが、それが不利益変更となる場合は、原則として労働者との合意なしに行うことはできません。…例えば賃金制度の改定については、次のような理由が考えられます。・経営状態の急激な悪化・マーケットの縮小…・年功制に対する不満の解消、モチベーションの維持・合併等…ページ279