ショーペンハウエル

ショーペンハウエルは実に穿ったことを言っています。「幸福について」のなかで、以下のごとく述べています。厳しいです。ほとんどすべての人は愚者だと言外に言ってます。


総じて賢者というものは、いつの時代の賢者でも、結局は同じ事を言ってきたのであり、愚者即ち数知れぬ有象無象どもは、いつも一つの事、つまりその逆をおこなって来たのだが、こいつは今後といえども変わるまい。だからボルテールは言っている「われわれはこの世をみまかるときも、この世に生まれて日の目を仰いだときと同じく、愚かで悪党であることだろう」と。

よい本を読むと、納得して明日からは人生が変わるように思うのですが、すぐ忘れて元の木阿弥になりがちです。教養のありそうな人が借り物の知識ばかりで浅薄な衒学趣味の人物であることもよくあります。言葉は立派でも全く実践に欠ける人もよく見掛けます。自分自身のことで言えば、せめてステレオタイプの作戦の善し悪しを見極める眼を持ちたいと思います。

ちなみに、ショーペンハウエルというのは、「デカンショデカンショで半年暮らす、アヨイヨイ、あとの半年ねて暮らす、ヨーオイ、ヨーオイ、デッカンショ」に歌われている一人で大哲学者です。「デカンショ」はデカルト、カント、ショーペンハウエルの略だといわれています。

幸福について―人生論 (新潮文庫)

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