劉邦

「朗読してみたい中国の古典」の最初の一文は劉邦の「大風の歌」です。天下を取って、功臣たちをみずから殺したあとの感慨深い歌です。命の尽きるまでに、このような歌を歌ってみたいものです。功臣を立てて…


大風起こって 雲飛揚し

威 海内に加わって 故郷に帰る

安くにか猛士を得て 四方を守らしめん

■大風が吹き起こって雲は飛ばされ、我が威光は天下を覆いつくして、故郷に錦を飾った。さてこれから、どこの猛将を得て、四方を守らせようか。

劉邦についてもう一つ。「故事ことわざってこんなに面白い」のコラムではじめて知りました。

「一敗、地に塗れる」は漢の劉邦が語ったものだそうです。「打倒!秦」で多くの人が立ち上がり、県令(地方長官)は劉邦をリーダーとして推挙しましたが、行ってみると心変わりして、城に入れてくれません。その城外で劉邦は演説しました。「リーダーの人選を誤れば、惨敗してみんなむごたらしい最後を遂げることになるでしょう(一敗、地に塗れる)私にはそんな大役は務まりません。ほかに適任の人を選んで下さい」結局、圧倒的多数の支持を受け、これを承諾。のちの漢帝国を樹立することになりました。