競争戦略論 1

「競争戦略論 1」(マイケル・E・ポーター著 ダイヤモンド社刊)を読みました。一撃を喰らいました。経営者の役割について深く考えさせられました。すなわち、トレードオフの重要性です。経営とは「やらないこと」を決めることでした! また、経営者はしばしば拡大の誘惑に負けてしまうとのこと、痛い指摘です。ただ最近おぼろげにこのままの経営ではうまく行かないことに気づいていました。大まかな未来設計図をいろいろな人に説明し始めていました。評判は悪くありません。本書を読んで、私に足りないのは、事業に対する考え方(哲学)と実現するための方法論(定石)でした。直ちに、最適なポジションを探し出し、新しい事業戦略及び企業戦略を決定します。

尚、「競争戦略論 2」もざっと読みましたが、国家単位のグローバル企業向けの論文で、あまり興味が湧きませんでした。


…競争には、物事を改善する驚くべき力がある−企業にとっても、社会にとっても(p.22)

…撤退障壁には、非常に専門的な資産や、特定の事業に対する経営陣の思い入れなどがある。こうした要素があると、たとえ収益性に乏しく、下手をすると投資収益率がマイナスであっても、企業は競争を続けてしまう。(p.51)

企業が成長する上で(いや、生き残るためにも)カギとなるのは、ポジショニングである。既存の企業であれ、将来の新規参入組であれ、直接の競合企業からの攻撃に対して備えを固めつつ、書いて、供給業者、代替製品といった方面からの侵略にも強いポジションを獲得しなければならない。望ましい顧客との関係を強化する。マーケティングを通じて本質的/心理的な製品差別化を図る、川上統合や川下統合に踏み切る、技術面での優位を築く−ポジション構築のやり方はさまざまである。(p.60)

問題の根は、オペレーションの効率化と戦略とを区別できていない点にある。…そしていつのまにか、徐々に単なる経営管理ツールが戦略と取り違えられるようになっている。あらゆる面を改善しようとするあまり、マネージャーたちは維持可能な競争歩じっションからどんどん離れてしまうのである。(p.68)

オペレーション効率の継続的改善は、卓越した収益性を実現するための必要条件である。だが、通常それは十分条件にはならない。オペレーション効率を頼りに、長期にわたって競争に勝ち残り続けた企業はほとんど存在しない…(p.73)

オペレーション効率にのみ立脚した競争はお互いを傷つけるだけであり、競争を制限することでしか止めようのない消耗戦になってしまう。(p.75)

競争戦略の本質は差別化である。つまり、意図的にライバルとは異なる一連の活動を選び、独自の勝ちを提供することである。(p.76)

戦略的ポジションは三つの異なる源泉から生まれる…第一に、戦略のポジションは、その業界の製品・サービスの一部分に特化することによって得られる。…二つ目は、特定の顧客グループのほとんどの(あるいはすべての)ニーズを満たすやり方である。…三つ目の源泉は、顧客を彼らにアクセスできる方法に基づいてセグメンテーションするやり方である。(p.87)

戦略とは、他社とは異なる活動を伴った、独自性のある勝ちあるポジションを作り出すことである。…企業に課させる命題は一つだけ−いかにしてその理想のポジションを他社より先に見つけ、先取りするか、である…(p.90)

戦略とは競争上必要なトレードオフを行うことなのである。戦略の本質は、何をやらないかという選択である。(p.98)

(競争優位とその維持可能性を決定するのはフィット)一つ目のフィットは、各活動(機能)どうし、また全体的戦略との間の基本的一貫性である。… 二つ目のフィットは、活動がお互いに強め合う場合に生じる。三つ目のフィットは活動を強め合うフィットからさらに踏み込む。取組の最適化と呼ばれるものである。以上3種のフィットに共通するのは、個々の部分よりも全体の方が重要だという点である(p.104)

戦略とは、企業としての活動のあいだにフィットを生み出すことである。戦略が成功するかどうかは、多数のものごとをうまくやり、しかもそれらを統合できるかどうかで決まってくる。活動がお互いにフィットしていなければ、明確な戦略もありえないし、競争優位もまず維持できない。(p.109)

戦略に影響を与えるさまざまな要素のなかで、最も危険なのが成長願望である。(p.112)

…戦略を維持・強化するような成長アプローチとは、…戦略的ポジションを拡大し妥協するのではなく、それを深めることに集中するというのが定石である。(p.115)

…リーダーの役割の一つは、社内の他の人間に戦略のなんたるかを教え、妥協や模倣に対してノーと宣言することなのである。(p.118)

企業が戦略を立案する上で、役に立つアプローチは…現在実行していることを注意深く見直すことである。…我が社の製品・サービスのうち、最も他社と違うのはどれか…(p,127)

業界の構造は五つの競争要因で表現される。…買い手の交渉力、供給業者交渉力、新規参入の脅威、代替製品の脅威、既存企業間の競争状況があわさって、その業界の収益性を決定する。…情報技術はこれらの五つの競争要因のそれぞれに変化をもたらす可能性があり…(p.152)

競争戦略論〈1〉

競争戦略論〈1〉