国民の修身

「国民の修身」を読みました。「修身」とは朱子学の経典「大学」の「修身・斉家・治国・平天下」からの言葉であることは容易に想像ができます。大学時代アナクロに陥っていた時に学びました。宗教観がなく道徳観もなく歴史観もなければタダの獣です。国民は子供のうちに教化しなければならないと強く思うようになりました。備忘します。

国民の修身

国民の修身

自慢するな  二羽の雄鶏が蹴合いをしました。一羽は負けて小屋の隅に逃げ込みました。勝った方は屋根の上に飛び上がって、勢いよく勝鬨をあげました。。この時大きな鷲が飛んできて、その威張っている雄鶏を一掴みに掴んでいきました。( p.62)
不作法なことはするな 文吉の家へ小太郎があそびに来て、絵本を見ておりました。しばらくして文吉は母に呼ばれたので、急いで絵本をまたいで行きました。母は用を言いつけた後で、「ものをまたいだり踏んだりするような不作法なことをしてはなりません。」と言ってきかせました。( p.77)
召使いを労われ この子は水をもらおうと思って女中をよびましたが、すぐに来ませんので大層腹を立てました。そして女中が働いている井戸端へ駆けて行って、大きな声で叱りました。母がそれを聞きつけて、「そんなことに人を使ったり、腹を立てたりしてはいけません。召使いは労わって使わなければなりません。」と言ってきかせました。( p.96)
整頓 本居宣長はたくさんの本をもっていましたが、いちいち本箱に入れてよく整頓しておきました。それで夜は明かりをつけなくても、思うようにどの本でも取り出すことができました。宣長はいつもうちの人に向かって、「どんなものでも、それを探す時のことを思ったならば、しまう時に気をつけなければなりません。入れる時に少しの面倒はあっても入用の時に、早く出せる方がよろしい。」と言ってきかせました。(p.136)
規則に従え 春日局は時の将軍の乳母であった人で大層勢力がございました。ある夜遅く城に帰って来た時、門が閉まっていたので、供人が開けさせようとしましたら、門番の役人が「規則に従えでございますから、上役の許しがあるまでは通すことはできません」と言いました。局は「それはもっともなこと。」と言って、寒い夜風に吹かれながら門の開くまで外に待っていました。( p.143)