コーポレート・ガバナンス入門

「コーポレート・ガバナンス入門」を読みました。1999年の本です。日銀出身の著者の予想はほぼ当たりました。経営者が強すぎる米国はエンロン事件など大きな不祥事が頻発し、日本は、米国化にしたがい従業員の権利が失われていくことになりました。大きく考えればコーポレート・ガバナンスの変化による当然の帰結といえるでしょう。備忘します。

コーポレート・ガバナンス入門 (ちくま新書)

コーポレート・ガバナンス入門 (ちくま新書)

…会社は株主が提供したお金を基礎にして、それに借入金を加え、人を雇って事業を行います。事業活動で得たお金は、給料や借金の利息や元本の返済に充て、残ったお金は株主の財産になります。(p.14)
…株主が取締役の候補者を株主総会に提案することは、…ドイツや日本においては、比較的容易である一方、アメリカやイギリスにおいては難しいといえます。(p.49)
よく「会社は株主のものだ」といわれますが…つまり、ある会社の株式を全部買い集めても、会社の純資産を全部現金にして払い出すためには…減資の手続きが必要です。会社が持っている純資産は、株主の単なる所有物ではないのです。(p.106)
…企業の経営が悪化した場合に、債権者、株主、経営陣、従業員などの企業の利害関係者のうちのだれが、どの順番でリスクをとるか、がポイントです。(p.195)
…日本企業のガバナンス構造は、アメリカ型にある程度近づいていくことが予想されます。とくに、従業員の雇用の安定性が弱まるほか、会社の純資産に対する株主の支配も強まることが予想されます。(p.204)