骸骨考

養老孟司さんの「骸骨考」を読みました。ヨーロッパで、たくさんの骸骨を見た話です。2016年に出版されたこの本は、比較的新しい作品です。副題に「イタリア、ポルトガル、フランスを歩く」とあるように、ヨーロッパ各地を巡る骸骨見学を中心とした紀行文です。 著者の養老さんは、まるで子供のように虫捕りが大好きな人物。その素朴な視点で物事を捉えるスタイルは、一般的な評論家とは一線を画しています。断言しないし、人は状況に流される事をよくわかってます。 旅の途中で彼の哲学的な考え方が随所に織り交ぜられているのも魅力の一つ。脳科学者としての視点で、人間を物理的、数学的に捉える彼の思考は、一般的な観点とは異なる洞察を提供してくれます。「そういう考え方もあるな」と思わせる面白さがあります。 宗教における欺瞞の問題、日本人の言語表現に対するスタンス、そして死に対する現代日本の態度など、多岐にわたるテーマが語られています。 読後は、日常を見る目が少し変わるかもしれません。備忘します。

厳密には、ここはちょっと面倒である。つまり情報には送り手と受け手があるという常識がある。その時にやりとりされるもの、つまり言葉なら音声とか文字、それが情報の媒体だが、変わらないのはその媒体の中身である。インクで書いたら、いずれ文字が消えてしまう。でもそこに書かれた内容は、適当に媒体を保存すれば、いつも同じままで残る。デジタル化の実態はそのことである。媒体は実態で、実態は諸行無常だからいずれ消え去る運命にある。だから媒体は、とっかえひっかえしなければならないのだが、でも中身は同じまま残る事は認めいただけるだろう。私はそれを情報と呼んでいるこの中身は意識と記憶の中にしかない。ページ21 身体の扱いにくさは変化することにある。…最も根本的には情報化しないのである。言い換えれば…完成しない。完成するのは、意識的なものだけである。ページ22
宗教における不況の問題を端的に言うなら、「人をどう騙すか」である。騙すという言葉が本当ではない、と感じる人もあろう。しかし、騙す事は文化の基本と関わっている。無論ここでいう騙すは広義であって、振り込め詐欺のような具体的なものだけを考えているのではない。1番広く言うなら、騙す事は情報の発信者と需要者との関係、その具体的な利用を包含される。論理的にはその間に様々な問題が発生する。そういう目で見れば、振り込め詐欺はわかりやすい事例に過ぎない。ページ42
日本人がこういういわ馬鹿げた議論をしないのは、言語表現にそれほどこだわらないからであろう。「初めに言葉ありき」の世界とはずいぶん違う。言葉は素直に発せられ、素直に受け取られれば良い。なぜその方が良いのかと言うと、社会全体としては効率が良いからである。いちいち他人の言うことを疑っていたら、面倒で仕方がない。ページ48 現代の日本では、死に関する態度が混迷してるように見える。70年前までは、そこには少なくとも暗黙の了解があった。人生は自分のためではなかったのである。だから神風特別攻撃隊だった。戦後はむしろそれが逆転した。自己実現、本当の自分、個性を追求するようになった。その典型はアメリカの文化であろう。そのアメリカの脳科学は何を見つけたか。人の脳のデフォルト設定は社会脳なのである。つまり1人でものを考えたり、集中して作業するときの設定ではなく、誰か他人の相手をするときに働く部分が初めから活性化している。ページ112
欧米の文化では自由とは運動系に関わる。何をするか、つまりする自由が意識されている。東洋ではそれはむしろ感覚に関わる。感じる自由ではないか。ページ136 宇宙船は人工物だが、そこから見える世界は自然物である。それにそれを見た途端に、思想が根底から変わってしまう。見ただけでも自分が変わるのだから、見ることを馬鹿にできない。見ることなんて、ひたすら受け身だ、ということにはならないのである。でもテレビの画面を見ていたのでは、意識の中から出られない。テレビは誰かの意識が作っているからである。ページ145

AI技術の進化とフィットネス業界へのインパクト

かつてフィットネス業界で活動していた私から、皆さんへ重要な情報をお伝えしたいと思います。テクノロジーの進化は止まらず、それを活用することで私たちの生活やビジネスはさらに拡がる可能性があります。
特にAI技術の進化は目覚ましく、その一例として、OpenAIのChatGPTというAIがあります。最近では、このAIがブラウズ機能を持つようになり、最新の情報をインターネットから取得し、それを元に対話を行うことが可能となりました。これは今年の5月に導入されたGoogleのBardと同じ機能です。
そして、さらに最近では、有料版のChatGPT(バージョン4.0)でもブラウジング機能が使用可能となりました。これにより、最新のデータを元にしたアドバイスや情報提供が可能になります。
フィットネス業界でも、このようなAI技術の進化は無視できません。プランナー、コンサルタントイラストレーター、漫画家、声優といった多様な職種が存在する現代、激しい変化の時代に我々が立つことを認識し、良い人生を設計するために、新しいテクノロジーの活用を心から推奨します。

質問「あなたは、優秀な、サーチャーでありライターです。日本のフィットネス産業の現状と10年後の未来を予想して下さい。500字以内でまとめて下さい。」
ChatGPT回答
日本のフィットネス産業は健康志向の高まりと共に成長しており、体と心の健康を求める人々によってサポートされています。2018年には、産業全体で5.5兆円を生み出し、130万人以上を雇用しています*1*2。スポーツジムやフィットネスクラブも増加傾向にあり、2022年には8.54千件以上の施設があり、その売上は2689.2億円に上るとされています*3。しかし、フィットネスクラブの利用率はまだ低く、多くの日本人は屋外や自宅で運動を行っています。その一因として、スポーツ施設への支出に対する消費者の消極性や、施設の不足が挙げられます*4。
テクノロジーの進化はフィットネス産業に新たなチャンスをもたらしています。ウェアラブルバイスやフィットネスアプリの普及が進んでおり、個々のニーズに合わせた体験が提供されています*5。
10年後の未来を見据えると、これらのトレンドはさらに加速すると予想されます。技術の進歩により、パーソナライズされたフィットネス体験の提供や、遠隔でのトレーニングが可能になります。また、日本の高齢化社会では、健康的なライフスタイルを推進することが重要となります。これにより、フィットネス産業は引き続き成長し、その一方で、環境に配慮した運営方法やサービスの提供が求められるでしょう*6。
これらの予想は現在の情報に基づいていますが、新たな技術の出現や政策の変化など、未来を予測する要素は数多くあります。より詳細な予測を得るには、さらに多角的な視点や専門的な分析が必要となります。

質問「パンデミックの日本のフィットネスクラブに対する影響は?」
ChatGPT回答
パンデミックは日本のフィットネスクラブ業界に大きな影響を与えました。COVID-19パンデミックの勃発により、ジムの収益は大幅に減少しました。しかし、パンデミック期間中もフィットネス施設の数は増え続けました*1。その一方で、ジムの会員数や全体的な出席数は大幅に減少しました*2。
パンデミックはまた、フィットネスと健康のアプリによる新たなフィットネス市場のセグメントの成長を促進しました。これらのアプリは消費者に高度にパーソナライズされたフィットネスと健康体験を提供し、無料または低コストのサービスを提供することで広範な消費者層に魅力的であると考えられています*3。
しかしながら、特定のフィットネスクラブ(例えば、コナミスポーツクラブ)のパンデミックによる具体的な影響については明らかにする情報を見つけることができませんでした。コナミスポーツクラブの最新の収益データは、1百万ドルから5百万ドルの範囲で、従業員数は3人と報告されています*4。しかし、これらのデータはパンデミック前後の変化を反映していない可能性があります。
なお、2023年3月現在、コナミグループ全体の従業員数は8,857人で、24の子会社を有しています*5。これらの数値はコナミスポーツクラブの従業員数や収益に含まれている可能性がありますが、それがどの程度の割合であるかは明らかではありません。そのため、コナミスポーツクラブ自体のパンデミックによる影響を正確に把握するには、更なる情報が必要となります。
以上の情報はあくまで一般的な視点からのものであり、特定のフィットネスクラブの経済状況やパンデミックによる影響については、各クラブから直接情報を得ることをお勧めします。

映像制作ハンドブック

「映像制作ハンドブック」を読みました。「動画の文法」で学んだ内容を復習するために読んでみました。この本は、プロ向けのテクニックや機材についての記述が詳しいです。少し技術的なことを学ぼうと思っていたので、非常に参考になりました。特に照明やレフ板の使い方やインタビュー時のカットのつなぎ方の説明は、大変参考になりました。
話の流れやポイントをわかりやすく伝えるために、構成・シナリオ段階でのキーワードは「強調と省略」だと述べられており、情報を要約することが必要であるとされています。撮影現場での準備や作業フロー、映像編集においてもストーリーの構成や編集の原則が必要です。映像制作における現場テクニック、ストーリーの構成、編集の原則などが再確認できました。備忘します。

構成・シナリオ段階でのキーワードは「強調と省略」です。苦労してた情報ほど切り捨てづらいものですが、過大な情報を詰め込んだ映像は、ポイントが不明瞭になってしまいます。企画の目的に合わせて思い切った要約や単純化行います。そして話の流れやポイントがわかりやすいように、情報を伝える順番とそのつなぎ方を検討します。ページ8
一文の長さを短くする 映像内の音声による言葉は一方通行で後戻りして確認できません。そのため次の点に注意しましょう。
・文の長さ短く(一文は15文字から30文字以内が目安)
・主語は文頭に持ってくる
・形容詞・句と被形容詞・句をできるだけ近づける。
・複文(1つの文の中に主語述語が二組上ある)を避ける
・できるだけ短文(1つの文の中に主語述語が1組だけ)にする ページ12
撮影現場では、ロング、ミディアム、アップの各サイズをバランスよく撮影することが1つのコツです。どの画面サイズも、単独では映像作品として成立しません。3つの画面サイズの撮影量のバランスを意識して撮影することが大切です。ページ18
カメラを固定して撮影することをフィックス撮影と呼んでいます。カメラワークの基本はこのフィックス撮影です。フィックス撮影は画面に落ち着きがあり、客観的な画面となります。ページ21
パン撮影を行う際の注意点
・ショットの頭と末尾に点数秒間以上のフィックスショットを入れる
・頭と末尾のフィックスショットはしっかりした構図になるようにする
・末尾のフィックスショットが最も自然に撮影できるように、三脚とカメラマンの立ち位置を決める
・パンの開始と終了は徐々にスピードを変化させる。急激に開始終了しない。
・絞りシャッタースピードなどはマニュアルに設定する。
・パンは原則として左から右へ ページ22
内容的なものは、5 W1 Hに従って分析すると、漏れがありません。映像に限らず、すべての情報はこの5 W1 Hが基本だからです。この分析がなければ映像制作としての撮影は不可能といっても良いでしょう。ページ30
現場での撮影準備、ロケハンでの作業フローはおよそ次のようになります…決定項目のプライオリティの付け方としては「変えてはいけないものから決めていく」ことを基本にすると良いでしょう。
①被写体の決定→②カメラポジションの決定→③画面サイズ、カメラの高さ、カメラワークの決定→④照明の決定→⑤マイクセッティング→⑥ホワイトバランス→⑦リハーサル→⑧本番 ページ33
ビデオカメラなしでビデオ映像を制作することはできませんが、照明がなくても撮影ができてしまいます。しかし、ニュースなどを除いて、プロの映像製作者は照明をカメラと同じ位重要だと考えます。実はここに、アマチュアの映像とプロの映像の差があると言えるのです。ページ35
3灯照明の各ライトの照明のバランスに決まりがありませんが、一応のガイドラインとしては右の表のような設定が一般的です。
キーライト(左1基準)、フィルライト、(右3分の1から2分の1)、バックライト(後2分の1から1超)ページ47
屋外での最大の高原は太陽です。光量で太陽にまさる照明は難しいので、「屋外照明」の基本は太陽光を活用することです。そのため最も基本的な道具がレフ板です。屋外のロケーションで人物を取る場合の一般的な方法は、太陽をバックライトとして使って人物の輪郭を浮き上がらせ、レフ板で太陽光を反射させて人物の前方からあてるというものです。ページ48
音量はデシベルと言う単位で表すのが一般的です。録音レベルはマイナス6デシベルから12デシベルで調整するのが目安です。ページ67
映像編集を作業面からとらえると「与えられた映像素材から必要な部分を取り出し、並べ直し、つなぎ合わせ、映像効果を加えることで1つのストーリーを構成すること」です。「切り取り、並べ直し、つなぎ合わせ、特定の効果を加える」ことによって省略と強調を行い、映像のに特定の意味付けを行うことでストーリーを作るのです。ページ84
カットに連続性があるとは、1連のカット(シーン)が「自然に見える」ということです。視聴者は映像の中の出来事が目の前でリアルタイムで起きている、と無意識に感じながら映像を見ています。このため現実の物理法則に反するようなカットつなぎがあると、視聴者は違和感を感じます。ページ88
連続性を保ちながらもカットが変わったことを明確にするつまりカット繋にメリハリを与えるルールが必要です。これが20%ルールです。20%ルールとは「あるカットは前のカットよりも画面サイズやカメラポジションが20%以上異なっていなければならない」という経験則です。例えば画面サイズならウェストショットからバストショット以上、カメラポジションなら被写体に対して30度以上が目安です。…以上スムーズなカット繋連続性180ドルとメリハリのあるカットつなぎの2つがカット編集で最低限守るべきルールです。ページ91
例えば2人の対談をそれぞれ人物を二台のカメラで撮影した素材があるとしましょう。この場合のカット編集は、どのタイミングで二台のカメラの素材を切り替えるかという問題になります。基本は、常に話し手を映像で見せることです。話し手が変わるたびに2つのカメラ素材を切り替えていくわけです。しかし2人の言葉の間の時間が短い場合、カット替えと同時に次の人が話し始めることになり、非常に忙しく感じるはずです。そこで実際は、片方の人物の発言の最後で早めに次の人物へカットがする技法も比較的よく使われます。ページ92

映像制作ハンドブック

「映像制作ハンドブック」を読みました。「動画の文法」で学んだ内容を復習するために読んでみました。この本は、プロ向けのテクニックや機材についての記述が詳しいです。少し技術的なことを学ぼうと思っていたので、非常に参考になりました。特に照明やレフ板の使い方やインタビュー時のカットのつなぎ方の説明は、大変参考になりました。
話の流れやポイントをわかりやすく伝えるために、構成・シナリオ段階でのキーワードは「強調と省略」だと述べられており、情報を要約することが必要であるとされています。撮影現場での準備や作業フロー、映像編集においてもストーリーの構成や編集の原則が必要です。映像制作における現場テクニック、ストーリーの構成、編集の原則などが再確認できました。備忘します。

構成・シナリオ段階でのキーワードは「強調と省略」です。苦労してた情報ほど切り捨てづらいものですが、過大な情報を詰め込んだ映像は、ポイントが不明瞭になってしまいます。企画の目的に合わせて思い切った要約や単純化行います。そして話の流れやポイントがわかりやすいように、情報を伝える順番とそのつなぎ方を検討します。ページ8
一文の長さを短くする 映像内の音声による言葉は一方通行で後戻りして確認できません。そのため次の点に注意しましょう。
・文の長さ短く(一文は15文字から30文字以内が目安)
・主語は文頭に持ってくる
・形容詞・句と被形容詞・句をできるだけ近づける。
・複文(1つの文の中に主語述語が二組上ある)を避ける
・できるだけ短文(1つの文の中に主語述語が1組だけ)にする ページ12
撮影現場では、ロング、ミディアム、アップの各サイズをバランスよく撮影することが1つのコツです。どの画面サイズも、単独では映像作品として成立しません。3つの画面サイズの撮影量のバランスを意識して撮影することが大切です。ページ18
カメラを固定して撮影することをフィックス撮影と呼んでいます。カメラワークの基本はこのフィックス撮影です。フィックス撮影は画面に落ち着きがあり、客観的な画面となります。ページ21
パン撮影を行う際の注意点
・ショットの頭と末尾に点数秒間以上のフィックスショットを入れる
・頭と末尾のフィックスショットはしっかりした構図になるようにする
・末尾のフィックスショットが最も自然に撮影できるように、三脚とカメラマンの立ち位置を決める
・パンの開始と終了は徐々にスピードを変化させる。急激に開始終了しない。
・絞りシャッタースピードなどはマニュアルに設定する。
・パンは原則として左から右へ ページ22
内容的なものは、5 W1 Hに従って分析すると、漏れがありません。映像に限らず、すべての情報はこの5 W1 Hが基本だからです。この分析がなければ映像制作としての撮影は不可能といっても良いでしょう。ページ30
現場での撮影準備、ロケハンでの作業フローはおよそ次のようになります…決定項目のプライオリティの付け方としては「変えてはいけないものから決めていく」ことを基本にすると良いでしょう。
①被写体の決定→②カメラポジションの決定→③画面サイズ、カメラの高さ、カメラワークの決定→④照明の決定→⑤マイクセッティング→⑥ホワイトバランス→⑦リハーサル→⑧本番 ページ33
ビデオカメラなしでビデオ映像を制作することはできませんが、照明がなくても撮影ができてしまいます。しかし、ニュースなどを除いて、プロの映像製作者は照明をカメラと同じ位重要だと考えます。実はここに、アマチュアの映像とプロの映像の差があると言えるのです。ページ35
3灯照明の各ライトの照明のバランスに決まりがありませんが、一応のガイドラインとしては右の表のような設定が一般的です。
キーライト(左1基準)、フィルライト、(右3分の1から2分の1)、バックライト(後2分の1から1超)ページ47
屋外での最大の高原は太陽です。光量で太陽にまさる照明は難しいので、「屋外照明」の基本は太陽光を活用することです。そのため最も基本的な道具がレフ板です。屋外のロケーションで人物を取る場合の一般的な方法は、太陽をバックライトとして使って人物の輪郭を浮き上がらせ、レフ板で太陽光を反射させて人物の前方からあてるというものです。ページ48
音量はデシベルと言う単位で表すのが一般的です。録音レベルはマイナス6デシベルから12デシベルで調整するのが目安です。ページ67
映像編集を作業面からとらえると「与えられた映像素材から必要な部分を取り出し、並べ直し、つなぎ合わせ、映像効果を加えることで1つのストーリーを構成すること」です。「切り取り、並べ直し、つなぎ合わせ、特定の効果を加える」ことによって省略と強調を行い、映像のに特定の意味付けを行うことでストーリーを作るのです。ページ84
カットに連続性があるとは、1連のカット(シーン)が「自然に見える」ということです。視聴者は映像の中の出来事が目の前でリアルタイムで起きている、と無意識に感じながら映像を見ています。このため現実の物理法則に反するようなカットつなぎがあると、視聴者は違和感を感じます。ページ88
連続性を保ちながらもカットが変わったことを明確にするつまりカット繋にメリハリを与えるルールが必要です。これが20%ルールです。20%ルールとは「あるカットは前のカットよりも画面サイズやカメラポジションが20%以上異なっていなければならない」という経験則です。例えば画面サイズならウェストショットからバストショット以上、カメラポジションなら被写体に対して30度以上が目安です。…以上スムーズなカット繋連続性180ドルとメリハリのあるカットつなぎの2つがカット編集で最低限守るべきルールです。ページ91
例えば2人の対談をそれぞれ人物を二台のカメラで撮影した素材があるとしましょう。この場合のカット編集は、どのタイミングで二台のカメラの素材を切り替えるかという問題になります。基本は、常に話し手を映像で見せることです。話し手が変わるたびに2つのカメラ素材を切り替えていくわけです。しかし2人の言葉の間の時間が短い場合、カット替えと同時に次の人が話し始めることになり、非常に忙しく感じるはずです。そこで実際は、片方の人物の発言の最後で早めに次の人物へカットがする技法も比較的よく使われます。ページ92

動画の文法

「動画の文法」(神井譲著)を読みました。仕事のための読書です。映像制作の基本や効果的なインタビューシーンの撮影方法について学びました。豊富な事例、適切な画像は、理解しやすく、編集の基本がよくわかりました。この本から得た知識を活かして、来週からのメディマット動画撮影に臨みたいと思います。本書から得た重要なポイントと私の感想を共有したいと思います。
まず、「動画の文法」で学んだことは、動画制作においても文法が重要であり、ストーリーを上手く構築することが鍵だということです。また、編集によって視聴者に飽きさせないことが重要であり、そのためにモンタージュが大切だということを理解しました。これらの知識は、今までYouTubeにアップしていた自分の動画を振り返ると、恥ずかしく感じる部分もありますが、今後の制作に活かしていきたいと思います。
また、本書では具体的な撮影方法やインタビューシーンの撮影方法も紹介されており、視聴者の興味を引くキャッチやリードの重要性、情報の価値を伝える方法について学びました。これらの知識を活かして、より魅力的な動画を制作できるようになりたいと思います。
まとめると、「動画の文法」は映像制作の基本を学ぶ上で非常に役立つ本であり、今後の動画制作に大いに活かせると感じました。これから動画制作を始める方や、すでに制作をしている方に一度をお薦めします。備忘します。

(この本は)編集というスキルを身につけるための本であって…あくまでもソフトの部分である。「カットの順番とその長さの決め方」の話であって、電気技術的な話は割愛してあります。ページ7
台本は日本語で書いてありますから、そのストーリーを言葉でなく画で綴るように並べてあげる。つまり、動画の編集とは「日本語(言語)というコミュニケーションツールから「映像というコミュニケーションツール」に翻訳する作業にほかなりません。ページ16
まずは①退屈な見せる意味がない部分を切り落とす、これが1番目の編集の目的です。これはカット整理整頓すると言うことであります。…これによりストーリーを伝えると言う目的が②ストーリーを綴る生み出して伝える表現するに進化しました。ページ20
動画編集ができるという事は映像で文章を作ることができるということです。この映像で作った文章がシーンですだから文法が必要なのです。ページ24
…映像の順番を決めているのが文法です。文法というルールに従って情報を並べないと意味が違ってくるのは当たり前ですよね。当然、動画にも順番を決めるルールがありますそれが「動画の文法」です。ページ29
…ですから最もシンプルに1番短く順番だけで表現するなら「動作の主→動作→動作の対象:という順番で並ばせることになります。ページ36
…この時、「主→動作→対象」という意識を持っていなければいけません。まず「誰が何をしているのか」という画を見せるのだということを、次に「対象よりも動作を先に持ってくるんだ」ということを意識していなければいけないのです。ベジ49
…基本文法の現実的な意味は「動作の手と対象がわかるようになってるかどうかには常に気をつけなさい」ということです。ページ58
「アップの次は主観になる」という言葉も当たり前に使われていますが、「アップの次だから」ではなく「何かを見ているという動作」の次だから主観になるのです。ページ73
…変化の経過を伝えるためには時間が必要です。時間の流れがあることが最大の特徴である動画は、ストーリー(何がどんなふうにどうなったか)を伝えることこそに秀でたメディアであり、むしろストーリーを伝えてこその動画であるわけです。ページ89
鉄則:「ヒキで始まりヒキで終わる」ということは基本文法と合わせると、
基本構文:ヒキ→主+動作→対象→リアクションエンド・ヒキということになりますね。ページ90
ではなぜヒキで始まりヒキで終わるのが基本なのかといえばおよそ次の3つの理由が考えられます。
①広く状況描写するのにはヒキが手っ取り早い。
②広い画で入った方が後のカットの流れを作りやすい。
③前のシーンの最後のカットと次のシーンの最初のカットとの絵面がぶつかりを避けやすい。ページ103
動画の編集には二通りのつなぎ方があります。2通りのつなぎ方しかありません。それは「つながっているつなぎ方」と「つながっていないつなぎ方」です。編集とは「今のカットの長さを決め、次のカットを選ぶこと」でしかありません…ページ110
1つのシーンには起承転結が一通り揃っているわけです。シーンとは「起承転結の1番小さい一揃い」だということです。起承転結が揃っていることを「ひと連なり」と表しました。「エピソード」も小さなストーリーではありますが、通常複数のシーンからなり、必ずオチがあることがシーンとの特徴的な違いです。シーンがいくつか集まりエピソードになり、エピソードがいくつかつまりストーリーになります。シーンは1番小さな起承転結の一揃い、エピソードは中規模の起承転結の一揃い、ストーリーは全体の起承転結の一揃いということです。ページ112
ネットでも紙芝居編集をしばしば見かけますが、目につくのはまず、当てた画を見せる間が短すぎる、カットが短すぎるということです。次に画面に余計なものが出ていて何を見せたいのかわからない、画面の整理ができていないという事ですね。ページ129
…複数のカットをつなぎ合わせて作られているシーンを指して「このシーンはモンタージュされている」といい、複数のカットをつなぎ合わせて1つのシーンを作ることをモンタージュ(する)といいます。ページ160
…各パーツをあるべきところに配置したか、単に寄せ集めただけか。単に複数の異質のものを寄せ集めればそれはすべてコラージュなのですから、編集も合成写真も全てがコラージュであり、その内1部の「違和感なく1つのものとしてつながっているもの」だけをモンタージュと呼びます。ページ161
つまりカットをストーリーになるようにつなぐことがモンタージュするということになります。ページ163
特に重要なのは時間がよどみなくつながっていることです。ページ169
…正しい順番はまず素材をリサーチ、台本を書く、編集するです。撮影も伴う場合は、リサーチ→台本→撮影→編集です。台本を先に書くと全てを言葉で伝えようとしがちですので必ず頭の中で映像を思い浮かべながら書くようにしましょう。ページ187
動画の持つ力それはとりもなおさずモンタージュの力なのでありそれを最大限発揮させることが編集するということです。ページ191
アップはよほどの狙いがない限りはラストカットに持って来てはいけません。ページ215
…みんなが動画を見たがるのはストーリーがあり、それが活字ではなく映像で描かれているからです。より劇的で面白いものに料理されているからです。みんなが見たがる動画は「番組系動画」のことであり、ストーリーこそが動画の命なのです。ページ234
まとめ
・先に紹介された人物が主人 後から出てくる主人公は手を焼かせる
・役の重要度によって見せ方が変わるページ253
…「演出」は必ず「答え」の前に来ます。全てを「答え」の前に持ってきた=「答えを後に持ってくる」、これが「演出」というものです。乱暴な言い方ですが、「演出とはイ答えを後に持っていくこと」です。だからそこには時間が必要になり、だから動画が面白いのです。答えがすぐに出てくるという事は、演出がされてないということですよね。だから面白くないわけです。ページ271
イン点はもちろんそのカットによっていろいろですが、たいていは「動作が始まる1フレ前か5フレ前」です。イン点を決めたらそれより左側を切り落とします。ページ280
…被写体が何であるかを認識するまでに通常10から20フレ位かかりますが、状況認識するまでは少なくとも3秒程度かかります。だから原則として1つのカットは3秒以下はありえないのです。ページ283
編集する者にとっての演出とは「モンタージュすることによって、写っていないものを感じさせること」に他ならないということです。つまり番組系動画では編集することと演出する事は同じことです。ページ292
…そのような動画を本書では「番組型動画」と呼んでいます。そしてそれをできるのはつながっている編集だけです。つながっている編集を使いこなしストーリーの力=モンタージュの力を存分に引き出せることこそが編集できるということです。そしてそれができて初めて動画は最強のメディアとなれるのです。ページ293
…いかに退屈させない事が重要であるかを頭に入れておいてください。実はこの本の冒頭でお話しした編集の3つの目的は、すべて視聴者を退屈させないためなのです。ページ337
日の丸構図は動画でもよろしくないのですが、気になる時は被写体を端に寄せるのではなく、車体によって上下の余白を少なくします。特に被写体が人の場合は、頭の上の余白を少なくして、顔がセンターではなく画面の少し上に来るようにします。Hey頭の先まで入れたがる人がよくいますが、頭はかなり思い切って切ってしまってもいいのです。ページ343
…頭の上に空間を作ることを嫌います。頭の上は開けても卵1つ位切り込むときには最大おでこまで切り込みます。顔がしっかりは目線の向いている側を広めにするのがオーソドックスなやり方です。…動画では被写体を真ん中に捉えることを基本にします。視聴者は真ん中周辺しか見ていないからです。特に動作を見せたいカットでは被写体対応ではなく動作を真ん中でとらえるようにしましょう。版はカメラを左から右へしまってから上へ流すのが基本です。…動画は何でも左から右が基本ですページ345
インタビュー映像の編集は通常、まずは音だけで編集します。画は一旦無視していらない場面や発言等をつまむという作業です。ページ370
省略法のルール、…省略できるの原則として「状況説明のカット」だけです。つまり、コア・カットは省略できません。ページ379
インタビュアーがいるという事は取材映像だということです。取材映像を使うのは報道とドキュメンタリーです。だから報道系動画では取材者がいるのは当たり前だから省略してもわかってもらえるのです。…だから番組系動画で省略するのはNGです。ページ397
…エンタメ動画を作る際には撮影する前に必ず物語を創る必要があります。紙の上でまずは完璧にストーリーを作ってからそれを作るための映像を作っていくことになります。ページ449
カメラ視点は視聴者の主観です。その場にいるのだから視聴者というよりも観客といった方がいいかもしれませんね。これがショーだということです。観客がカメラを回しているんだと思ってください。…CM一般番組です。CM内にインタビュー映像が出てきた場合、それはインタビューのシーンとなりお芝居映像ということになります。ページ 455
番組系は伝えるものは創作したストーリーなのだから主観で作られているに決まっているわけで、それを視聴者の時間で描く番組に、客観で各とドラマになるということです。ページ457
一方、番組系動画は映像で語ることが目的であり、映像作品を作っているわけですから、映像ではないコミニケーションツールであるテロップは使うべきではありません。ページ462
編集に1番引っかかるのはこのカメラ視点です。主観でとっているのか客観で撮ってるのか、主観なら誰の主観なのか。これが超重要です。ページ465
また視聴者側の人であってもテロップには「さん」をつけません。単なる情報です。読んでるわけではないので呼び捨てになりません。ページ474
たとえ企業VPでも「お客様」という言葉としで使うならまだしも、「○○様」は気持ち悪いです。ページ480
…マーケッターやコンサルタントでも「お客様」という言葉を使わず「お客さん」を使っている人が少なくありません。ページ481
たった1つのことだけを頭に入れておけばいいのです。人間は1度に1つの事しか認識できないこれだけです。ページ484
…だから演出は必ず先に、受け取って欲しい情報テロップは必ず最後にいきます。これができるからこそ動画訴求力が強いのですが、それと引き換えに1つのことしか伝えられないのです。ページ486
映像に不足があるときはまずセリフでカバーすることを考えます。それがうまくいかないようならナレーションでカバーすることを考えます。それでもダメなら、カバーしなければならないどうしてもダメなのかを考え直します。それでもダメならようやくテロップを出すことを考えるのです。ページ488
権利表記は…3秒です。2秒では短すぎ、表示したことになりません…ページ489
…後は音だけではわかりにくい単語などでしょうか。他にもいろいろあるでしょうが、いつでも映像の不備を補完するもの視聴者がより没入するためにその情報を必要するということが絶対条件です。ページ497
…基本は映像よりもメインとなるようなテロップならば真ん中の下、映像の方がメインでどこに出してもいいようなテロップならば右下にできるだけ小さくです。ページ494
まず話を聞いてもらえるように視聴者が興味があるであろうが話題で入って仲間に入れてもらいます。これを「キャッチ」といいます。…相手をより深く引き込むためには、「これはなんだろう?」ではなく「この後どうなるんだろう?」と思ってもらうことが大切で、それにはストーリーが極めて有効です。だからストーリーのある動画が最強のメディアなのですが、ストーリーは変化であり、変化を見せるには時間が必要なので、動画はアイキャッチはできない事に注意が必要です。次に伝えようとする本題のほうへ誘導しますこれを「リード」といいます。ページ502
…そこまでしてからその情報の価値を伝えます。これが本題です。本題とはあなたが伝えたい情報そのものではなくその情報の価値視聴者にとってのメリットであることに注意してください。視聴者は価値を理解したならばそんなに良い情報なら「ぜひ教えてちょうだい」となるのでそこで初めてあなたが押し付けたい情報のテロップを出せばいいのです。…相手にちょうだいと手を出させそこで渡して初めて伝わるのです。ページ503
カット内のセリフが始まる直前10フレ前をイン点、セリフの終わりの10フレ後をアウト点とします。イン点にか5~10フレ程度のフェード・インを掛けて下さい。アウト点のところは、フェード・アウトです。…これを音を丸めるといいます。ほぼ必ず音出し音終わりは音を丸めると覚えてください。ページ509
BGMを入れたい場合は、音楽ファイルをステレオで編集室の空いているトラックに貼り付けておきます。動画の音声の基準レベルは-20デシベルんですがCDに基準レベルはなく最大0デシベルを目指してできるだけ大きく好き勝手な音量で入れてあるので、そのまま貼り付けるととんでもないレベルになります。…BGMならば− 10 UVほどになるように下げましょう。…セリフはスカスカなので同じで0VUだとセリフが小さく音楽は馬鹿でかく聞こえます。ページ514
インターネット動画を作る方は必ずお父− 20デシベルノーマライズすることを忘れないでください。音声ファイルなら0デシベルでいいでしょうが動画ファイルにしたいのなら− 20デシベルにするべきです。ページ515
…だから「だれに」「なにを」をしっかり考えなくてはいけません。」…「どう」伝えるかは企画の段階では大雑把でかまいません。ページ523
…またインタビューなどドキュメンタリー系では、コンテをか書きようがない事はありますが、それでもできる限り考えておきます。どんなインタビューになるのか、相手が何を話すのか、どんな構図の画をとればいいのか(どっちを向いて話してもらうのか)、その場で考えているようでは絶対に後で泣きます。0時526
…当たり前のことを過ぎて書くのを忘れていましたが、撮影に行くときには絶対に照明と三脚を用意します。室内のロケならもちろんですが、屋外ならば最低限レフ板は用意します。ページ528

米欧回覧実記4

明治4年に明治政府の主要メンバーを含む48名が、3年間にわたって米国、欧州を視察した旅行記「米欧回覧実記4」(欧州大陸編・中)を読みました。第四巻は、ロシア、北ドイツ、デンマーク、スエーデン、南ドイツ、イタリア、オーストリアの訪問記で、著者は米国、英仏の訪問後ですので、以前ほど産業、文化に驚かなくなってきています。
 ロシアにおいては、王権が強く、農奴制度はなくなったものの農民は税に苦しみ、産業は遅れているとの印象を受けたと述べています。オーストリアでは、貴族が簒奪しているため富が民衆に行き渡らず、技術が進展しないとの指摘がありました。一方で、スエーデンの訪問で教育制度に感心したと述べており、教育が国の繁栄の柱であり、国語、文法、絵画、算数が基本であると感心しています。また、イタリアの古跡を訪問して感慨深い思いに耐えないというエピソードもありました。
 著者は、国際政治に関しての注意喚起を行っており、「各国が企みを持ち、勢力を用いるという観点から見るならば、我々が最も親しむべき国が英仏であるのか、ロシアであるのか、ドイツやオーストリアであるのか。これは世界の本当の状況をしっかり見極め、逆に、しっかりと調整しなくてはならないことである。」と述べています。
 そして、日本の進むべき道は殖産興業であるという主張がありました。日本人は草の生えた山野をそのままにして牧畜を営むこともなく、岩山も放置して鉱業を起こす気持ちもなく、森林も役に立たない土地だと考えて、そこから利益を上げようとしないとの指摘がありました。
 このように、使節団一同は、明治時代の日本が、欧米の先進国と比較して遅れている点に気づきました。
 著者の主張や指摘には、今でも大いに参考になります。備忘します。

要するに人々の生活を充実させるには、こうした便利なものを利用することが大事なのだ。製鉄業を起こして諸々の器具機械を作って人々に利用させる事は、誠にわが国の政治の急務である。ページ56
東洋人種は欲望が激しくなく、道徳政治に服し、君主は人権を旨として国民を巧みに導こうとするが、それでも長年の蓄積は外国人の目をくらませるほどのものとなった。西洋人種は欲望が極めて強く、その性質を矯めようという意識が低い。その君主も、私財保全の政治を行って所有する土地やそこに住む住民から高い税を取り立て、膨大なものを懐に入れている。その様子は悪なき貪欲さだと言っても過言ではない。欧州の住民の間に自由論が激発し、王権を遮って民権を全うしようという議論がわき起こる原因もそこにある。東洋・西洋の人種の性質や感情が異なっている様は、ほとんど正反対である。ページ63
しかし、その真意はどこにあるのかと見るならば、結局は人心を掌握し、規律に従わせる道具とするために、宗教を政略的に使っているのではあるまいか。ページを67
…英国、ベルギー、プロイセン、ロシアがずば抜けている。ロシアは国土が広大なことで世界に冠たる国である。その多くは荒れ果てていて寒い不毛の荒野であるが、鉱産物は極めて豊富である。ただ輸送の便が悪いので、採掘しても利益が上がらないだけである。ページ98
西洋の鉱山事業者はただ貴金属類を採掘しようというのではなく、人々に必要不可欠な鉱物を掘り出して社会に利益を与えている。鉱物学が大いに有用である理由はここにある。注意が肝要である。ページ99
というのは、そもそも各国が分立して強弱の力関係においてバランスをとっている、いわゆる「親睦」という状態は実は皮相なものであり、仮面だけである。そうだとすれば疑い恐れるべき対象は、ロシアだけとなぜ言えるのか。ページ112
…そもそも各国が企みを持ち、勢力を用いるという観点から見るならば、我々が最も親しむべき国が英仏であるのか、ロシアであるのか、ドイツやオーストリアであるのか。これは世界の本当の状況をしっかり見極め、逆に、しっかりと調整しなくてはならないことである。従来の妄想や幻影に基づいた議論を完全に払拭し、精神を明澄にして判断することを、識者には望みたいものである。ページ113
…その目的は産業技術と貿易を広め、人々が富栄えることにある。日本からヨーロッパに来るとすべてのものが華やかで精密であり、我が国の技術が古拙であることを恥ずかしく思わないわけにはいかないが、ヨーロッパ人は自らの文明の浮華を嫌い、東洋の品物から真の価値をかえって見いだすことが多いそうである。ページ157
…一般民衆を教育する場合は、科目はできるだけ平易なものとし、理解できないから科学は嫌だというような気持ちを生徒が抱かないようにすることが大切である。ページ208
大体、人は生まれれば必ず言葉を持とうとする本態がある。だからこそ、その人が属する国の言葉を教える。これが国語である。言葉を身に付けるに従って、それを書き記す方法を教える。これが文法である。文字は意味を伝えることができるが物の形を描くことはできない。口で言えないことを手まねで伝えるように、文章で伝えにくい事は絵ではっきり伝えることができる。そこで図画ならわせる。人生において数と言うものは極めて大切である。生涯これは必ず付きまとうものである。そこで算数を学ばせる。ページ209
ここにあげたいずれの例も、習俗に逆らうことなく政治を行うことについての言葉である。西洋の政治は民衆の自主性を重んじる。これは昔の齊の政治似たところがある。そこで、国力がつよい国の場合、貴族が力を持ち、、富んだものがその勢力を分かちもつけれども、政権は時として民権に屈することもあるのである。…ビスマルクは老練熟達の賢い宰相である。そして皇太子はまだ若く血気盛んな年頃であるのに、かえってビスマルクの行き過ぎを心配しているのである。文明国の政治家たちはこのように真摯で篤実である。これは日本では見られないことではないか。ページ224
日本人は草の生えた山野をそのままにして牧畜を営むこともなく、岩山も放置して鉱業を起こす気持ちもなく、森林も役に立たない土地だと考えて、そこから利益を上げようとしない。これが日本の国家経済が振るわない根本的理由である。ページ283
…そもそも昔栄えた民族がいちど衰えると、再度栄える事は難しいのである。今日のイタリアを昔の姿に比べれば、かつての威勢はなんと盛んであったことか。ローマ市内には2000年ほども昔の古跡が多い。これをめぐっていると感無量の思いに耐えない。ページ317
わが国には昔から独創性が乏しい。そして他者の知識を学び取ることには能力を発揮する。建築、製鉄、陶磁器製造、黄色技術等は皆中国、朝鮮から受け入れ、今ではわが国の方が優れた技術を発揮するようになっている。ページ360
西洋には博物館があり、些細なものでも収蔵している。図書館や文書館を設置して断簡ンや破棄されそうな文書さえ集めて保存している。文化の極致と言うべきであろう。ページ396
このようにハンガリーは元来モンゴリアン人種の1つであるフン族の国で、その面積はほぼ我が国に匹敵しているが、人口は半分足らず、ヨーロッパの東辺境部にあって、その風俗習慣は全てヨーロッパ風とは異なっている。ページ464

米欧回覧実記3

「米欧回覧実記3」(欧州大陸編・上)を読みました。明治4年に明治政府の主要メンバーを含む総勢48名で、3年間、米国、欧州を視察した旅行記です。第三巻は、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツの訪問記です。著者は、特にパリ市の繁栄、プロイセンの統治に感嘆しています。当時の宰相ビスマルクとの会見の中で、将来の日本の道筋をみいだしたものと思えます。使節団の伊藤博文は強く影響(憲法制定)をうけたのでしょう。すなわち「国の盛衰は政治力ではなく、国民の団結力が鍵であること」、「弱小国こそ、軍事力を背景にしないと大国のいいなりになってしまう」肝に銘じたと思います。
それにしても欧州で歓待ぶり、庶民の興味津々、当時の各国の元首の親切に驚きました。備忘します。

フランス人はイギリス人をからかって、彼らは指先の神経が鈍いから、巧緻なが機械力に頼るしかないのだという。英国の製品は頑丈で優っている。フランスの製品は繊細さで優っている。両国は互いに譲らず、ドイツを見下している。ドイツ製品は非常に装飾を重んじるが、フランス人に言わせるとドイツ人は優雅さと言うことを知らない。イタリア人は非常に器用であり、製品は大変美しい。フランス人はこれに対して華麗で新奇のデザインで勝負している。ページ14
大体アメリカからイギリスに来ると、人々の宗教心が1段減ったように見える。イギリスからフランスに来るとさらに1、2段信仰が薄らいでいるように見える。これ以後回ったk欧州各地にしても、米英のように信仰心が熱い土地はどこにもなかった。ページ40
西洋がよく日進月歩の実を上げるのは、その根本に昔のものを大切に思う心があるからである。例えばパリの壮大の凱旋門は、古代ローマの城門から進歩したものであり、セーヌ川の橋は、ローマのティレーベ川の橋の末裔であることからもわかるだろう。ページ62
チョコレートの製造はこの工場でカカオ豆を煎って粉末とし、砂糖と混ぜて形に打ち込んでいろいろな形のものを作っている。香りが良く、少し苦味がある。西洋で食事を提供する場合、必ず菓子を乗せた高杯が出てくる。ちょうどわが国の蓬莱台のような形でチョコレートはこれに盛り付ける。銀箔で包み、その表面に石盤の彩色画などを貼って美しく装う最上等の菓子なのでる。ページ145
文明国とはいっても、中層以下の民衆はまだ頑迷で暴力的であることを免れない。西洋の各国は上層から下層まで美しい風俗を持っていると言ったりするのは大間違いである。ページ149
文明の極致においてはどのような学問も言及しないものはないという事実をはっきり理解すべきである。ページ150
国の盛衰は政治力に関わるものではなく、国民の団結力が、政治として表現されているだけなのではないだろうか。こういう諺がある「政府は人民の影」と。うまいこと言うものである。ページ180
特にフランス周辺の人々は活発な気質で、軽率に約束し、軽率にそれを破るという癖がある。この国民はかつてオランダと1つの国を作っていたけれども、気性が全く異なっている。オランダ人はドイツ人に近い。ベルギー人はフランス人に近い。しかし、生計を立てるために困苦を厭わないということでは、ドイツ的性格も兼ねている。ページ191
自然が豊かであると人はあまり努力しなくなる。自然に恵まれない所の人々は努力するようになる。これは天が平均を図っているのであろうか。ページ242
ヨーロッパの都市の盛衰の原因は東洋ともアメリカとも異なっている。東洋の都市の場合、その活性を左右してるのは政府機関の発注である。アメリカの都市の活性の鍵を握るのは大商人や有力者の活動である。ところがヨーロッパの各都市の場合、王侯貴族がその鍵を握っている。ドイツ連邦カ国の首府には皆大貴族が居住していて、立派な城館をそれぞれ築いている。各都市に商品が集まるのも、常に貴族たちの動向に依っている。ページ346
ビスマルクは自身の幼児からの体験を交えながらこのような話をした。―現在、世界各国は皆親睦の念と礼儀を保ちながら交際している。しかし、これは全く建前のことであって、その裏側では密かに強弱のせめぎ合いがあり、大小各国の相互不信があるのが本音のところであろう。私が幼い頃、わがプロイセン国が弱体であった事は皆さんもご存知のことであろう。その頃私は小国としての実際の状況を自ら体験し、常に憤懣を感じていた事は、今も脳裏にはっきり記憶している…したがって、現在日本が親しく交際している国も多いだろうけれども、国権と自主を重んずる我がドイツこそは、日本にとって親しい中でも最も親しむべき国ではないか― 両国の使臣たちが一堂に会している中でのこのスピーチは、大変意義深く、ビスマルクの弁舌の優れていること、政略にたけていることがよく理解できた。よくよく味わうべき言葉だったと言うべきであろう。ページ370