やさしくはじめるラズベリーパイ

「やさしくはじめるラズベリーパイ」を読みました。ラズパイの基本的な知識と、今必要な技術の習得を目的とした読書です。前半はハードのセットアップを含めた基本が書かれてます。後半は実際の電子工作の解説です。センサー、webカメラ、人感センサー、ロボットとの製作例です。2017年の出版ですが、ラズパイが古いので少し心配でした。
本書に従ってOSのインストール、VNCを使ってパソコンから遠隔操作する環境にしました。Linuxベースですのでターミナルでの操作がやや煩雑です。本来の目的のwebカメラを作動させてみました。

苦しんで覚えるC言語

「苦しんで覚えるC言語」を読みました。マイコンにセンサやモータを制御させることを目的とした読書です。だいたいC言語で書かれていますので必須です。すごい書名ですが、内容は懇切丁寧で、やさしいです。一読後、学習用のコンパイラをインストールして、実際にプログラムを書いて動かしています。プログラマーを目指しているわけではではないので、chatGTPにでも基本的なプログラムを書いてもらって、部分修正で利用することになると思います。備忘します。

インデント 階層を表現するために右にずらして書く方法のこと。ページ56
// これ以降はこの行全体がコメントです。ページ58
文字列リテラル プログラムの中に埋め込まれている、“ “で囲まれた文字定数。ページ77
変数の値を1増やす、あるいは1減らす、1増減専用の演算子があります。変数の値を1増やす演算子は+ +演算子で、インクリメントと呼ばれます。逆に1減らす演算子は--
演算子で、デクリメントと呼ばれます。ページ104
if文による数値の比較は、非常に明快で単純です。すなわち、指定された数値が、0であるかそうでないかを判定するだけです。C言語では、条件による判定を行う場合、0を偽、0以外を真と呼んでいます。ページ134
break文を忘れるな この例のように、break文を除けばcaceを繋げられるのですが、逆に言えば、break文を忘れると関係ないcaceがつながってしまうのです。繋げたくない場合にうっかりbreak文を忘れないように。ページ165
for文を使用すると、繰り返しを行えることがわかりました。この時使用する変数を、カウント変数と呼ぶことがあります。ページ173
これを見ていただくとわかりますが、要するに、for文で条件式しか指定しない場合と同じことなのです。for文では、初期化と更新が使えるので、常数回ループが簡単にかけるのですが、ループの回数がわからない場合は、条件式だけのwhile文が便利です。ページ184
コンピューターの性能が上がり、普通のプログラムでも十分高速に動く現代では、プログラマーの価値の半分は修正しやすいプログラムを作れるから決まると言っても過言ではありません。そこで、初心者でも手っ取り早く修正しやすいプログラムを作れる方法を伝授いたします。簡単です。とにかく関数をたくさん作ってください。関数に分けられそうなものは全て関数に分けてしまってください。多少やり過ぎ位でokです。ページ208
グローバル変数と同名のローカル変数ではローカル変数が優先されるのです。ページ229
深く考えるとややこしいので、ここでは1つ目の書き方で統一します。つまり変数名の前に:*をつければ、ポインタ変数を宣言できるのです。ページ299
実際にプログラムを作るときには、ポインタ変数がアドレスを記憶する変数である事はさっぱり忘れてください。なぜならポインタ変数の本当の使い方とは変数のショートカットとして使うことです。ページ320
苦C(「苦しんで覚えるC言語」)では、プログラミング入門者向けにC言語を解説しています。しかし、(英語と同じく)文法や命令単語をただ覚え込んだだけでは、C言語でプログラムを作る能力は身に付かないでしょう。重要なことは、実際にプログラムを作り、練習を重ねることです。
もし、あなたが、C言語を身につけたいのではなく、知識として知りたいだけであれば、練習などしなくても、苦Cを何度も読み返せば十分です。しかし、しっかり身につけたいと思う人は、必ず練習をしてください。
ところで、C言語の練習とは、いったい何をすればよいのでしょうか?C言語の練習とは、プログラムを実際に作り、それを動かすことです。そのためには、プログラムを作るソフトと、プログラムを動かすソフトが必要です。
まず、プログラムを作るソフトですが、実は特別なソフトは必要ありません。メモ帳などの、ごく普通のテキストエディタで作ることができます。(ワードなどのワープロソフトを使うと誤動作するのでオススメできません。)ただ、メモ帳では、機能が低すぎて物足りないので、もっと良いソフトを紹介します。
次に、プログラムを動かすソフトです。これには特別なソフトが必要です。C言語のプログラムを動かすソフトは、コンパイラと呼ばれています。コンパイラを使うと、C言語で作られたプログラムを動かすことができます。

実践Arduino!

「実践Arduino!」を読みました。Arduinoの基本的な知識と、今必要な技術の習得を目的とした読書です。2017年の出版ですが、ごく基本的な内容ですので問題はありませんでした。Arduino IDEをバージョンアップしたら、以前より文字が読みやすくなりました。
はじめに、IDEのインストール、ボードの性能、スケッチ(プログラム)に基本が書かれてます。後半は実際の電子工作の解説です。センサー、表示装置、駆動部品、音声との接続例です。実際に簡単なスケッチを書いて、LED点滅させてみました。備忘します。

(chatGTPより)
// LEDが接続されたピンの番号
int ledPin = 13;

void setup() {
// LEDのピンを出力に設定
pinMode(ledPin, OUTPUT);
}

void loop() {
// LEDを点灯
digitalWrite(ledPin, HIGH);
delay(1000); // 1秒待つ

// LEDを消灯
digitalWrite(ledPin, LOW);
delay(1000); // 1秒待つ
}
このスケッチでは、13番ピンにLEDが接続されていることを前提としています。もしLEDを他のピンに接続している場合は、ledPinの値を変更してください。

setup()関数では、LEDのピンを出力モードに設定しています。loop()関数では、digitalWrite()関数を使用してLEDを点灯/消灯し、delay()関数を使用して1秒待ちます。このようにすることで、LEDを1秒間隔で点滅させることができます。

M5Stack&stickCではじめるIoT入門

「M5Stack&stickCではじめるIoT入門」を読みました。M5Stackの基本的な知識と、今必要な技術の習得を目的とした読書です。2020年の出版ですが、すでにライブラリや操作方法がバージョンアップしていて、本書の指示通りでは動きませんでした。
ハードはM5StackとM5StackCの2種類の解説ですが、私はM5StackBasicなのでM5StackCの部分は読み飛ばしました。
Arduino IDE のインストール(最新版に更新)
・M5用ライブラリのインストール
・テスト スケッチと動作実験「HalloWorld」「ボタンカウント」「距離センサー」
クラウド送信 WiFi接続 Googleスプレッドシートへの送信
・やり残したこと Firebase
備忘します。


Googleスプレッドシート書き込み
https://script.google.com/macros/s/AKfycbywYaPRiEyw6feE2iCwv9rftPJKCvnAXP-vGjCisUIrSaiKn1jEhWaiElx9KMr8aZBx/exec
Googleスプレッドシート表示
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1X8FRIKaoQxOC1Z6a8ewS7xyYIDR4FTc_TVmxQRhf9n8/edit#gid=0
・Firebase m5stack データ表示 省略
・dynamoDB(amazon)送信 省略
・データ値の化視化 省略
クラウドサービスとの連携
・Line Amazon 省略

「米欧回覧実記2」(イギリス編)

「米欧回覧実記2」(イギリス編)を読みました。明治4年に明治政府の主要メンバーを含む総勢48名で、3年間、米国、欧州を視察した旅行記です。第二巻は英国の訪問記です。著者は、特にロンドン市の繁栄、アイルランドの景色が美しいことに感嘆しています。英国の工業だけでなく、宗教、政治体制や商業の組織(取引所、商工会議所、商業組合)を報告、吟味しています。細かいことですが、英国と似ている狭い国土での農業のありかたや製品の品質や輸送方法など、その後の日本貿易の基本となることを学んでいます。その真摯な態度に感銘しました。。先進国に学ばなければ日本が発展できないという渇望や焦燥だったのかもしれません。
それにしても地方の名士の歓待ぶり、庶民の興味津々、大歓迎をみると、他人事ながら当時の英国人の親切に感謝一杯です。さらにはビクトリア女王との謁見もありました。
彼らの江戸時代に学んだ教養や知識のベースが尋常でないことがわかりました。150年前の先人達の努力の上に今の日本があることを痛感しました。名著です。備忘します。

文明が進むと、宗教が説くところは失笑してしまうような点も多い。しかし、人の意識を導いて善行に赴かせ、本能的な理解を超えて人倫を守り、罪を犯さないようにさせるためには、宗教の力によらざるを得ない。ページ27
フランス人はあまり宗教にこだわらず、英米はこれを重んじている。自分が考えるには、宗教というものは今のところまだなくてはならないものである。ページ28
下院議員は与野党に分かれて議長席の左右に着席する。議長の右側に内閣の大臣席を設け、与党はこの右側に列席する。左側野は野党席である。ページ82
英国文明が進展するのは、改新派の政府の時に一歩進め、保守党の政府の時にこれを完全な形に仕上げて、自然に改良への方向に一貫性を保つ状況が生じるからである。これが国政に対して政党というものあが持つ最大のメリットである。ページ83
日本人は機敏な性質を持っている、だから考えることを嫌い、結局は進歩しない、この事はよく考えなくてはならない。ページ154
この水銀は加熱して使用はしないのだが、それでも水銀蒸気が発生し、その工程に携わるものは中毒して病気になりやすい。そこで20年前から銀を代用することを試みたが反射の程度がまるで違っていた。色々と工夫を重ねて、最近硝酸銀を使用することによって、水銀と同程度に反射する鏡の技術をついに発明した。ページ174
社内の人がいう所では、欧米諸国の大小の鉄工所で作る製品の寸法は、どの国も国際的な統一規格を用いている。したがって米国の機械を英国の工場で修理したり加工したりする場合も、寸法が合わないと言う事は無い。これが、互いに繁栄できる理由である、と。79ページ
東洋の場合、男性はおおぴらに酔うことを豪快だとし、女性はタバコを吸うことで魅力的に見えるとしているし、色欲についても風流なことをするが、それは西洋の文明国では最も卑しむべきことだと考えている。ページ191
…その損害は所詮は自分に返ってくるものである。西洋の会社が、長いこと貿易の利益を確保し、さらにますます盛大になっていく所以は、彼らが製品の製造十分心を使い、またきちんと荷造りして、機会で束ね、包み、油紙で湿気を防いだり、あて金を当てて束を固くしたり、圧板の箱に入れたり、その箱に隙間がないように充分注意し、あるいは補強の木材をくぎで打ちつけたりするからである。ページ195
…今、これに対して簡易な訳をつけようと、とりあえず「商人の集会所(取引所)」、「商人の会議所(商工会議所)」、「仲間の会合所(同業組合」、としてみたのであるが、東洋には全く存在しない組織であるから、これらがそれぞれどのような目的で作られたものか、理解できないであろう。この組織の必要性を日本人が感じていないということこそ、日本人が商工業の興産や貿易の交流の事について大変迂闊であることをはっきり物語ることなのである。ページ217
大体人間社会のあらゆる事は皆そうした「会社」として成立している。1つの家族は肉親の「会社」であり、また、主人と使用人とで構成される「会社」である。その「会社」が発展して、民事の「会社」ができ、さらに商業的な事業活動を敏速、かつ手広くを行うために商業の「会社」が作られる。ページ218
英国の都市や地方を観察すると、ロンドンのウェストミンスター周辺では、王権の威光が行き届いていて、立憲君主制の価値が高いことを感じる。ロンドンのシティや各都市を見ると、企業の自由が確立していて、あたかも共和制のようである。田園地帯を回ると貴族豪族の権利が大きく、貴族の専制の様子も見える。かつて英国人が三様の政治を合わせて行っているのがイギリスの政治であるというのを聞いて不思議に思ったものであるが、その土地で実情を観察すると、ここには一種の絶妙のバランスがあるということを感じた。ページ220
…人生の快楽を欲しいままにしているといえるのではないか。そもそもこの閑静な環境で考えることから、喧騒の巷での活発な活動が生まれる。また、その喧噪な巷での状況がわからなければ、閑静なところで頭を働かせることもできまい。こうして田園や山地などを遊覧すると、西洋についての認識は大いに新まる。都市に留学しているものが、この田園の状況を体験することなく西洋文明を論じるのは、「一斑から全豹を説く」というように、ごく限られた知見によるよって巨大な全体像を論じるようなことであろう。ページ263
国に歴史学が盛んになれば、はるか数千年前の事柄についても追求して事実を確かめようとするものである。ごく些細なふしぎなこと、ごくちっぽけな変わった器物についてもまた、尊重するのは、これこそ優れた文明の姿勢なのである。ページ268
英国が富強を持って世界に名高いのは、その民衆の性格として自立心がたくましく、法律をきっちりと守って、仕事によく励むからである。ページ279
とりわけ化学や物理などの分野については、一般の人は知らない場合が多い。西洋の工業技術が盛んなのは、細かく分業が行われているからである。何でもできる人が多いからではない。ページ317
(ソールテア村は)アルパカの紡績業を始めて以来、商工業者が数多くこの地域に集まり、ついには1つの村ができ、今は人口5000人を超える大きな村となった。ページ329
大体英国人は海外を渡航し回っていて外国事情に通じているのもというのであるが、自ら旅して外国をよく知っているものは、10,000人のうちの1人2人に過ぎない。特に地方では外国人を珍しがること、この通りである。ページ341
要するに東洋人は具体的な体験においで優れており、西洋人は技術理論に秀でている。東洋では手練の技を得意とし、西洋では機械の技を得意としている。日本の農業を理論的に説明しても幼稚な論理にしかならないし、日本の農業器具を見せれば機械ともいえないような代物だと笑われるけれども、これとで、一得一失なのである。我が国のようなところで緻密な農業行う際、結局狭い土地に多くの人の労働と知恵を注ぎ込む、あらゆる点に周到な手を尽くして、技術と熟練が完全に相まってのち、初めて篤農家の地位を確立できるようになる。ページ440
ただ、ロンドンは世界の原料の取引市場として規模が大きいので、農作物など一次産品の豊富な国にとっては、ロンドン貿易の状況に深く注意する事は、今大切なことであると思う。その国内の政治、国民生活の現状については、まだわが国が急いで参考にするようなところはない。ページ445

Instagram使いこなしセミナー

2023年2月2日、川崎商工会議所主催「Instagram使いこなしセミナー」を受講しました。副題は、「初心者でも出来る動画作成講座」です。SNSマーケッティングは進化しています。実は、SNS活用について、この5年、ずっと先延ばしにしていました、深く反省しています。人もお金もない状態でビジネスを展開するには、ネットしかないと改めて得心しました。尻に火が点いて、最近、「YouTube成功の実践法則」「YouTube動画」等で、最新情報を得ていました。本セミナーで、上手にまとめていただき頭の中がすっきりしました。講師は、株式会社にぎわい研究所の代表取締役村上知也氏です。準備にしばらくかかりますが、書評ブログ「タオを求めて」をショート動画にします。備忘します。

SNSマーケティイング

1.SNSマーケッティングの考え方
コロナ以後、非対面型ビジネスモデルへの転換が起きています。SNSビジネスへの転換です。「伝え方」「お金のもらいかた」「予約の取り方」「集客のやり方」を工夫する必要があります。
SNSモデルを推進するには、「世界観」が大事です。「ブランド」構築が必要ということです。SNSに商品をただ並べるだけではダメです。重要なのは「誰に伝えるのか」「どんな価値を提供するのか」「共感してもらえるか」です。

Instagramは写真とリール(動画)で構成されていますが、IDをプロアカウントにして、紹介情報などアカウントの整備が必要です。ショート動画(TikTok、リール、youtubeショートが流行りなので、縦長動画を制作する必要があります。
一般的には「役に立つ動画」「サービスの1シーンの動画」「マニュアルやネタ」をテーマに制作します。動画を成果(売上)につなげるには、「誰に向けた動画なのか」「何を伝えたいのか」を整理して、集客(見てもらう)します。テーマとしては「プロモーション動画」より「日常動画」や「コンテンツ動画」の方が望ましいでしょう。youtuberからの紹介はとても有効ですが、費用が嵩みます。B2B分野でも有効です。

2.制作テクニック
インスタ内で簡単に動画は作れますが、専用ソフト(VLLOl)の利用を薦めます。
①タグをつけること
「関係のないタグにしない」「目安:10~15」「日本語と英語で」「タグ登録」)
②撮影のポイント
「レンズを拭く」「台本」「縦と横」「場所、時間」「公開SNSの決定」「固定撮影」「逆光」
「ズーム不使用」「映り込み」「1カット10秒」「タイムプラス利用」「グリッドオン」
③制作のポイント
アイキャッチ」「結論先出し」「各論→信頼→消費者の声→買い方(予約)」
④文字起こし「VREW」「Vtsuber」
⑤Vチューバー
アバター snow reality pixpy
⑥ハイライトにすれば消去されない
⑦ブログ(書評)も縦長の動画に!

エーゲ 永遠回帰の海

「エーゲ 永遠回帰の海」を読みました。今から40年前、写真家と一緒にギリシャ、トルコの遺跡を巡った旅の記録です。NHK「見えた 何が 永遠が 〜立花隆 最後の旅」の番組の中で本書が紹介されていました。著者本人が代表作だと言っていたそうです。写真集の体裁ですが、短い文章に見過ごせない深い内容が含まれています。ニーチェ永遠回帰から「見えた 何が 永遠が」に至る文章は名文です。また歴史の大部分は虚無の中に飲み込まれている、「歴史はフェイク」であると断言しています。遺跡にじっと佇んで過去を鑑みればそれがわかると言っています。また哲学の始祖タレスの事蹟をこの本で、アリストテレスに匹敵する偉人であることをはじめて知りました。「アトス山」「ミレトス」…知らないことが多すぎる! 備忘します。

魂の不死を説く宗教に対して、ニーチェは「魂の不死などというものはない。肉体の死とともに魂も死ぬ。それによって、人間の生命は無に帰す。しかし、やがて、全てが永遠に回帰するのだ」と説いた。
時間は1つの方向に不可避的に流れるものではない。円環をなしているのだという。時が円環であるならば、はじめもなければ終わりもない。過去は同時に未来で、未来は同時に過去である。現在は永遠に過ぎ去り行く一瞬一瞬ではなく、永遠そのものである。現在は既に過去にも無限回繰り返されたことがあり、未来においても限界繰り返される。
人はまさにこの現在の一瞬において、すぎ去り行く時を生きているのではなく、永遠を生きている。「見よ、これが永遠なのだ」とニーチェはいう。
頭で考えている限り、わかったようなわからないような思想と思われるかもしれない。しかし、人気のない海岸にある遺跡で、黙ってしばらく海を眺めていると、これが永遠なのだということが疑問の余地なく見えてくるような気がすることがある。
「見えた 何が 永遠が」
かつてそう書いて詩人を廃業した詩人がいた。永遠を見る幻視者たりたいと思うが、それを本当に見るのがは怖いような気もする。ページ80
突如として私は、自分がこれまで歴史というものをどこか根本的なところで思い違いをしていたの違いないと思い始めていた。知識としての歴史はフェイクである。学校の教壇で教えられた歴史。歴史書の中の歴史。歴史家の説く歴史。記録や資料の中に残されている歴史。それらは全てフェイクである。もっとも正当な歴史は、記録されざる歴史、語られざる歴史、後世の人が何も知らない歴史なのではあるまいか。ページ120
記録された歴史なるというものは、記録されなかった現実の正体に比べたら、宇宙の総体と比較した針先ほどに微少なものだろう。宇宙の大部分が虚無の中に飲み込まれてあるように、歴史の大部分もまた虚無の中に飲み込まれである。ページ121
ニーチェが「悲劇の誕生」においてアポロン的なものディオニソス的なるものを対置させて、芸術を分析した事は有名である。アポロン的なるものは理性的で、静的で、明晰で、秩序を求めるのに対し、ディオニソス的なものは、本能的、感情的で、ダイナミックな爆発性を秘めている。それは、熱狂と興奮の中で混沌に向かう。前者は冷たく、後者は暑い。前者の代表的芸術として絵画があり、後者の代表として音楽と舞踏がある。両者が融合したものが演劇というのがニーチェの見方だった。ページ146
この世界には、下部構造が上部構造を作り出すという側面も確かにあるが、上部構造が下部構造を破壊したり改変していくと言う側面がそれに戻らずあるというのが、昔も今も歴史の教えるところではないか。ページ210
「黙示録」の時代、世界の終末は来なかったが、それを信じたキリスト教徒が世界を変えたように、観念は世界を動かすことができるのである。ページ212
アトス山に入って修道院巡りをした時、私は修道士たちから神の教えを聞かされたり、いろいろ説教じみた指導があるのではないかと思っていた。しかし予想に反してそういう事は一切なかった。修道士たちは、来訪者たちに本質的に無関心なのである。一夜の宿の面倒は親切見てくれる。だが、それだけである。ページ220
植民地を作ると、それらの市は例外なく「母市」たる親市と深い経済関係を結ぶから、植民地を作れば作るほど、ミレトスはそれらの都市の交易の中心都市として重きをなすことになり、急速に経済的に発展していった。そこにおいて何より重要だったのは、ミレトスの開運力、軍事力もさることながらミレトスの金融力だった。この頃、世界は初めて、本格的な貨幣経済に入った。経済が物々交換経済から、貨幣経済になったという事は、人類史上最も大きな曲がり角の1つを曲がったということである。それはインパクトの大きさにおいて、文字の使用開始と同じくらい大きなものを人類に与えたといっても過言ではない。ページ241
普通の哲学者の本では、あいかわらず「タレスは万物の元は水であると言った」としかでてこない。タレスの科学者としての業績をここに少し上げておくと、次のようなことが並ぶ。例えば、船を航海させるときは、夜北斗七星を見つけて、これが常に北の方向を示していることも覚えておけば方角を見失うことがないことと、その北斗七星の見つけた方が、彼の1番有名な著作「航海用天文学」に書かれている。…タレスが発見したのはそれだけではない。綿密な天文学的観測を継続的に行い、太陽軌道が傾いており、その傾きが毎日少しずつ変化しており、1年経つと元に戻るという太陽回帰現象を発見したのもタレスなら、昼夜の長さが等しくなる春分の日秋分の日がその太陽回帰現象からどのように説明できるかを明らかにしたのもタレスだった。1年を365日に分けたのも、1年を四季に分けたもタレスだったといわれる。ページ264