リアルタイム・マーケティング

「リアルタイム・マーケティング」を読みました。副題に「生き残る企業の即断・即決戦略」とあります。読みながら一種の恐怖感、焦燥感を覚えました。事例が多く、読みやすい本です。ジャーナリスティックな書き方ですので面白く読めます。「今すぐ」取り組まないと大変なことが起きるかも知れないという結論に賛同します。しかし、解説にある通り「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」(p.396)ことを十分に考慮するべきでしょう。
要約と備忘します。

リアルタイム・マーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略

リアルタイム・マーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略

現在、企業にとって最も重要なのは「今すぐ」やることで、ソーシャルメディアなどに飛び交う情報を機敏にとらえ、即座に対応しなければなりません。個人の発信した情報が、瞬時に人々の間に行きわたることがあります。人々がリアルタイムに反応できる環境においては、スピードと機敏さが重要です。「リアルタイム発想」を積極的に取り入れ、「チャンスが逃げないうちに行動する」「その時々の状況に応じて動く」「最新情報をもとに戦略や戦術を展開する」「部下に裁量を与える」など、スピードの重要性を意識してビジネスに臨む必要があります。顧客との間で何かトラブルが生じた場合にも即座に対応できるようにしておく必要があります。企業秘密の漏洩を恐れ、従業員にソーシャルメディアの利用を禁じる企業は多いが、ソーシャルメディアを活用したリアルタイム・コミュニケーションを従業員に自由に実践させた方が、企業の安全度は高まります。

…あなたの事業は何か。あなたの顧客は誰か。顧客にとっての価値は何か。…新たに考えるべき問いとは、「どうすればより速く価値を届けられるか」である。(p.71)
身分不相応な注目をマスコミから集めるコツを知っている。なかでもお気に入りは「第二段階」作戦(あるいは「ニュースジャック作戦」)である。(p.129)
…一般に、初期のコメントがリストの最上部に掲載されるため、早く発言した人のコメントが最もよく読まれる。このため、以後のやりとりではそれと同じ意見が目立つ。(p.159)
…自分の回答を必ず上位に食い込ませる方法を3つ見つけたのです。…三番目に重要なのは回答の長さであり、100〜200語くらいがよい。二番目は、回答を補うリンクや画像だった。断トツで重要なのは、最初に回答することだったという。(p.160)
…顧客でもない人に有利な価格やサービスを提供するのはやめて、支持者、つまり、既存顧客を大切にすべきだ…(p.222)
危機が持ち上がったら、会社のトップを対外コミュニケーションの最前線に引っ張り出すのが、たいていは最も効果がある。(p.234)
…住宅の見込み客が何気なく「近くの物件が売りに出たら知りたいわ」と言ったとしよう。すると、気の利く不動産業者は物件情報をリアルタイムでツィートするだろう。(p.282)…即応型ビジネスを展開するにはまずは意識を改革しなくてはならない。この意識改革は、フィットネス習慣を身につけるのと似ている。…「毎日一時間もフィットネスに充てるのは無駄!」というわけだ。よころが、いったんこれを日課にすると、「以前は重要なことばかりに時間を使っていたわけではない」と気づくのである。リアルタイム業務も同じである。(p.360)