故郷70年

柳田国男「故郷70年」を読みました。小林秀雄が講演CDの中で柳田国男を語っています。曰く「柳田国男が13歳の頃、当時、世話になっていた家に祠(ほこら)があり、それを開けたら蝋石があった。その家の亡くなった老婆が身体を磨いていた蝋石であった。その時、空の星座は見たこともない形になっていた。すると、ヒヨドリが鳴き、我に返った。ヒヨドリが鳴かなければ発狂していただろう」と。これを原文で読みたくて筑摩日本文学全集の中古本を購入しました。残念ながら、「抄」で、この話は載っていませんでしたが、同時期、同家での宴会の模様を描写した文章が載っていました。教養に溢れ、叙情的で、とてもよい話でした。
小林秀雄氏の講演CDは早川義夫の著書「たましいの場所」で知りました。アルバム「言う者は知らず、知る者は言わず」このタイトルは「老子」の「知者不言、言者不知」(しるものはいわず、いうものはしらず 知恵のある者は言葉が少なく、言葉の多いものは知恵が少ない)からとられいます。小林秀雄氏のお気に入りの言葉だそうです。

柳田国男 (ちくま日本文学全集)

柳田国男 (ちくま日本文学全集)