ウェブ時代をゆく

ウェブ時代をゆく」を読みました。ベストセラー「ウェブ進化論」の著者梅田望夫氏の著作です。2007年の作品ですので、今読むと古い内容ですが、処どころに良いことが書いてあったのでその部分を備忘しておきます。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ノーベル賞学者小柴昌俊はインタビューに答えて、「大事なのは自分はこれをやりたいというものを見つけること。それが人生でいちばん大切なことです。もちろん、簡単ではない。自分が何に向いているか、何が好きなのか、見つけるの易しくない点。それでも何とか見つけ出さなければいけない。よくないのは見つける努力しないでふわふわ生きていること。それでいちばん困る」…(118ページ)
情報共有を前提とした新しい組織の考え方は、組織が小さければ小さいほど有効である。一方大組織でこの考え方を導入することは至難の業である。人数が少なければ少ないほど強い信頼を醸成しやすいし、失うものが少ない小さな組織の方が思い切った情報共有ができる。…ウェブ進化の新しい息吹を体現する新しいリーダーが小さな組織を率いる時に、この新しい考え方を導入すればその組織は強靱になる。(185ページ)
小回りのきくグループが疾走してできる程度のことはコスト構造の面からも新規事業としてやるべきではないと大企業経営者も考えるようになっている。米国ではすでに15年近く前から、大企業が飛び地の新規事業をやたらに起こしても成功確率が低いので、本業と本業周辺の新技術や新製品の開発に注力し、新規事業の創造はベンチャーの多産多死の市場メカニズムに任せ、そこを勝ち抜いたベンチャーを必要なら買収するという経営手法が定着した。日本も同じようになっていくだろう。(187ページ)
アンディ・グローブはその著書の中で、「組織内の家サンドラを大切にせよ」と説いている。カサンドラとはギリシャ神話でトロイの陥落を予言した女司祭で、凶事の預言者の意味だ。迫りくる変化に誰よりも早く気付き、早い段階で声を大にして警告を発するカサンドラ。そんな人物を組織内に持つことの重要性を、彼は口をすっぱくしながら説くのだ。大小問わず組織に勤めるそべての人たちに、危機を認識する最大の助けとなるカサンドラを自らの内部に持つきだ、そう私は提言したい。(194ページ)