日本の優秀企業研究

この本を熟読しても、社長を経験したことのない人には、ほとんど理解できないと思います。「経営」は「経営学」ではありません。この本に書いてある「良い経営者の条件」を満たそうとすると、普通のサラリーマンなら分裂して行動できなくなると思います。備忘します。

日本の優秀企業研究―企業経営の原点 6つの条件 (日経ビジネス人文庫)

日本の優秀企業研究―企業経営の原点 6つの条件 (日経ビジネス人文庫)

優秀な企業の経営者は、自企業について、そのコンセプトを明快に説明できる。そしてそれが、自企業で取り上げる事業と取り上げない事業の境界としてきちんと作用している。ページ46
経営者の理念、ビジョンを社内で徹底するための第一条件は、自分の言葉で語る顔の見える経営者となることである。ページ163
経営者の理念ビジョンを社内に徹底するための第二条件は、言行一致させること、すなわち、自分の言葉で表現した自分の理念や方向性どおりの会社運営を実行することである。すなわち、理念、ビジョンを形骸化させないことである。この条件が、自分の理念や方向性を自分の言葉で何度も伝える根気を持つことに加えて、必要なのである。ページ167
…追い詰められたときにこそ、冷静さを失わず考え抜いて、危機が作り出した「隙間」を確実なものにして、長期的発展に向けた新しい方向性を見出すことである。追い詰められたときこそが、新しい方向性を見いだすチャンスである。そして、冷静さを失わず、考えることによってそれが可能になる。ページ202
最後であるが、優秀企業に共通する第6番目の条件は、「お金以外の世のため人のため」という自発性の企業文化を企業に埋め込んでいることである。ページ264
筆者は、この研究を終えてみて、社会に対する情報上の圧倒的な優位性と社内的な絶対的権力を有する経営者への統制が、金の力と資本市場からの評価のみで可能であるとは到底判断できなかった。宗教でなくとも良い。経営者自らの心の中にある内なる自己規律による統制が加わることが不可欠に思われる。ページ272