銀齢の果て

「銀齢の果て」を読みました。筒井康隆氏の小説です。70歳以上の老人は国家の邪魔だと政府が決めて、町ごとに老人同士で殺し合いをさせる話です。私が夢でうなされるほどの怖い小説です。背景に無理があるのですが、しだいに引き込まれました。その町で生存を許されるのは一人。複数残れば全員を処刑するというルールです。元自衛官や元プロレスラー、元象使いやら元鯨銛打ち名人、牧師、女たちが入り乱れて殺人ゲームを行うのですが、筒井氏の人間の見方に共感しました。死とセックスは非常に近い感覚であること、生物としての生存欲求は捨てがたいことに納得できました。そして老いることが罪になるような社会は、過去を捨て去る暴挙であることを理解しました。老人必読の小説家かもしれません。苦い結末です。

銀齢の果て

銀齢の果て