アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を」読みました。フィットネスビジネス、古屋編集長から推薦していただいた長編小説です。白痴の青年が手術により天才に変貌、そして白痴に戻る話です。「10代に薦める泣ける本」と帯にありましたが、泣けませんでした、むしろ怖い本です。恋人のアリス、フェイ、母ローズ、妹ノーマ、とても魅力的で、切ない女性がたくさん登場します。幾多の修羅場が訪れ、主人公チャーリー・ゴードンの抑圧されていた記憶が解き明かされていく過程に驚きと悲哀を感じました。最後の1行「ついしん、どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください」に物語の余韻と深い感動を覚えました。振り返って、心の闇が私にもあると内省しました。名作です。備忘します。

…夜が静かな昼になるまで私たちはこうやって愛し合った。彼女のかたわらに横たわっていると、肉体の愛がいかに大切かということが、互いの腕の中にいて、与え、受け入れることがいかに必要かということがよくわかった。宇宙が爆発して、分子が飛び散り、我々を暗く寂しい宇宙へとほうりだし、永遠にわれわれを引き裂く--子供は子宮から、友だちは友だちから、たがいにはなれていき、それぞれの道を通って孤独な死のゴール・ボックスへとおもむく。ページ425

(あらすじ) 32歳になっても幼児並みの知能しかないチャーリー・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞い込んだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これに飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリーの知能は向上していく…天才に変貌した青年の愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは? 全世界が涙した普及の名作。

(著者紹介)1927年ニューヨーク生まれ。ブルックリン・カレッジで心理学を学んだ後、雑誌編集などの仕事を経てハイスクールの英語教師となる。この頃から小説を書きはじめ、1959年に発表した「アルジャーノンに花束を」でヒューゴー賞を受賞。これを長編化した本編が本書がネピュラ賞を受賞し、世界的ベストセラーとなった。…