植物の科学

放送大学「植物の科学(’15)」全15回を視聴しました。驚いたことに、ゲノム解析の結果、以前の植物の分類が間違えていることがわかったそうです。光飽和点の理論など、植物の特徴が理解できました。収穫量の増加の方法や増加のメリット、デメリット、遺伝子操作の得失など最新の考え方がわかりました。ソーラーシェアリングを普及する際の基礎的な知識です。15回のうち、とくに第14回の「現代社会と植物科学」は非常に示唆に富む内容です。14回講義は別途取り上げます。備忘します。

植物の科学 (放送大学教材)

植物の科学 (放送大学教材)

【講義概要】
生物界の基礎生産を行ない、酸素の供給源ともなっている植物に関して、その多様性、生理、発生、生化学、生殖、成長、他の生物との相互作用について説明する。さらに、合わせて医薬、食料や環境修復、園芸など暮らしとの関わりに関する応用植物科学の側面も講義する。「動物の科学」とペアになる講義である。

【授業の目標】
21世紀に生きるわれわれは、いわゆる地球温暖化問題や生物多様性の喪失、大幅な人口増加とそれに伴う食糧不足や環境悪化など、いずれも即効性のある答えが簡単には見いだせない問題に直面している。こうした問題に取り組むための方策を模索するうえで、われわれに科学的な基盤を与えてくれる自然科学の重要な分野が、植物の成り立ちやはたらき、環境やほかの生物との関わりを研究する「植物科学」である。植物に対して広い関心と理解、そして愛着を育むことが本講義の大きな目標である。

各回のテーマと授業内容
第1回 さまざまな植物たち~その多様性と暮らし~
…植物とは何かを扱う。いかにさまざまな植物が、地球上で私たちの身の回りにいるかを紹介し、生物多様性の理解を進める。植物とは、生物多様性、形態多様性、単子葉類、真正双子葉類…
第2回 光合成と一次代謝
植物の生の営みの特色の1つは、光のエネルギーを化学エネルギーに変換する光合成過程である。…
第3回 成長・発生(1)~植物の体制と胚発生~
植物の体制(ボディープラン)がどのような仕組みでできあがるのか、胚の発生を中心に扱う。また、胚発生の過程で重要な植物ホルモンのはたらきについても紹介する。
第4回 成長・発生(2)~休眠・発芽と伸長~
種子の休眠と発芽の仕組み、それに関わる植物ホルモン、種子や芽生えが光を感じて成長を調節する仕組みなどについて紹介する。
第5回 成長・発生(3)~根~
根の成長発生に関して、側根の形成や重力に対する屈性反応などを取り上げ、それらの仕組みと関連する植物ホルモンについて紹介する。
第6回 成長・発生(4)~シュート~
植物の地上部は、茎の周りを葉が取り巻く「シュート」という構造から成っている。…シュート頂分裂組織から葉ができる仕組み、その配置のルール、…ついても紹介する。
第7回 成長・発生(5)~花芽形成~
植物は適切な環境条件におかれると、シュートを変形させて花を作り出す。その切り換えを花芽形成という。
第8回 成長・発生(6)~受粉と受精~
花は生殖器官を含み、受粉と受精の場として機能する。…受粉から受精にいたる過程を紹介し、…受精卵ができるまでを扱う。
第9回 形態の可塑性~環境適応~
植物は固着性の生活をしているため、…発生プログラムの他に、…可塑的に形態を変化させる仕組みを持っている。その仕組みとその生態学的意味について紹介する…
第10回 動物との相互作用~食害、送粉、種子散布~
…植物は多様な植食性昆虫の食害を受けており、一方でそれに対する対抗進化を遂げている。…植物と動物との間に見られるこのような搾取や共生の関係について俯瞰する。
第11回 植物間の相互作用~競争、生殖隔離、交雑~
…植物間の多様な相互作用を概観したのち、近親交配を避けるしくみや、近縁種間の生殖隔離機構、交雑を介した種分化について紹介する。
第12回 微生物との相互作用~病害、共生、寄生~
…植物は、…独自の防御システムを進化させてきた。一方で、…バクテリアと共生し、地球の生態系に大きな変化をもたらした。…
第13回 二次代謝と私たちの暮らし
…植物がつくり出す様々な低分子量の二次代謝 産物を通して人間の暮らしに関わる面について解説…
第14回 現代社会と植物科学
…育種の歴史と最近開発されつつあるゲノム育種、遺伝子組換え技術…を紹介しつつ、その利点と可能性、…環境保全あるいは環境修復…に関する正確な理解を目指す。
第15回 最後に~植物と植物学~
…植物の生のあり方を認識し直すことができるはずである。そこを出発点として、私たちと植物との関係を、…理解していくことが、本科目全体の目標である。