リベラルのことは嫌いでもリベラリズムは嫌いにならないでください

「リベラルのことは嫌いでもリベラリズムは嫌いにならないでください」を読みました。前半でリベラリズムは啓蒙と寛容によって生まれたもので、「正義」を定義しておかないと矛盾だらけの主義になってしまうことを理解しました。サンデル先生の白熱教室を思い出しました。反転可能性と二重基準の排除だけでも、リベラルは貫き通してほしいなあ。若い頃、保守に反対する革新(リベラル)は輝いていました。選挙では「保守の暴走を許さない」と私は革新に投票しました。現在のリベラルは、反対のための反対、「人権」が全ての頑迷な人々の集まりになり果てました。リベラル党の国会での振舞いをみていると悲しくなります。備忘します。

リベラリズムは、啓蒙と寛容という2つの伝統から生まれたと言いました。しかし、啓蒙にも寛容にもこれまで言ったように、ポジとネガがある。…しかし、私は正義概念は重要な基本的自室を持ち、それが啓蒙と寛容のポジを統合してリベラリズムを再編強化するシーンになると考えます。ページ21
反転可能性:どの正義構想も共通にもつべき正義概念の批判的実質は、私は普遍化不可能な差別の排除の要請にあると考えています。つまり、自分は自分だから、他者より優遇されるべきだ、とか。自分の国だから特権的に扱われるべきだ、あるいは自分の子供だから特権的に扱われるべきだとか。ページ21
二重基準の廃止整理概念を基本にすると、そこから様々な派生的権利が出てくる。今言った視点の反転可能性テストがその中の最も一般的なものですが、他にもあります。忠則、フリーライダーをだめだ。というのもその一つ。自分は便益を得るだけで、負担は他者に転嫁する、という姿勢は否定される。二重基準、ダブルスタンダードがダメだというのも正義概念から出てきます。ある状況で、自分の他者に対する要求を正当化するために、あるスタンダードを持ってくる。しかし別の状況で同じ基準を適用すると自分に不利な結論が正当化されてしまう場合、今度は別のスタンダードを採用専用して自分に有利な結論導こうとすると。こういう基準のご都合主義的な使い分けは、正義概念そのものに反する。だから、合理主義者であれリバタリアンであれ、許されない。ページ25
だから徴兵制の採用は、軍事力を持つことを選択した民主国家の国民の責任である。と自分たちが軍事力を無責任に乱用しないために、自分たちに貸す縛りだ、ということです。ページ62
つまり言いたかったのは、冷戦が終了した80年代、90年代の状況は、あなたがさっきおっしゃったほど単純ではない。西側が勝って、マルクス主義が消滅したわけではないし、リベラリズム批判が消えたわけではない。正義論が忘れられたわけでもない。むしろ西側で、冷戦が終わる前から、また冷静な終わった後も、リベラルな正義論のオールタナティブの求める動きが活発化していました。ページ122
法の正統性には、最低2つのことが必要です。1つは、今負けている敗者が、次の政治的闘争のラウンド次の選挙でもいいけどで勝者になるチャンスがゼロでないこと。そうであればこそ、負けている今、勝者の決定を受け入れることができる。ページ134

法則

「法則」を読みました。船井総研の創業者、亡き舩井幸雄氏の多数の著作をまとめた本です。尤もなことの連続でよく理解できました。実践していることも多く、自信を持てました。後半の人生哲学の部分は俗流で納得できませんでした。読み飛ばしました。技術的な前半のみ有用な本です。備忘します。

法則

法則

経営コンサルタントの仕事、ツキという観点から捉え直してみると、それは依頼者に、まず現状でツク状態にし、ついでツクものを作り、そのツキを落とさないようツキ管理をする、という3段階のプロセスでマネジメントすることに他なりません。ページ19
なぜなら先程も述べたように、長所と短所は裏返しの関係にあって、長所を伸ばせば短所は自ずと小さくなっていることが多いからです。ページ24
二大処世原則 1.鏡の原則…相手に向けられた向けた気持ちや行動が、そっくりそのまま相手から自分に返ってくる。2.愛情の原則…人でもお金でも情報でも、愛情もって大切にしてくれる人のもとに集まってくる。ページ33
随分いい加減に聞こえるかもしれませんが、実はこれこそが人生をうまくやっていくコツなのです。すなわち、都合の悪いことは考えないこと。ページ40
私は天地自然の理が万物かくあれと示した正しい方向性があると考えています。それは、単純化、公開化、万能統化、局所進展化、共生互助会化、自由化、公平化工の7つです。ページ47
成功の3条件とは、素直、プラス発想、勉強好き。ページ55
あなたは毎日、いろんないろんな人と出会うでしょう。その人数が20人までだったら、その日のうちに全員にはがきを出しなさい。慣れてくれば1時間ぐらいで書けるでしょう。ページ68
感謝の心を持つと、その人間の一番良い部分、長所が出てきます。したがって、感謝できる材料があるから感謝しようではなく、どんなことにも感謝しようと思うことが大切です。ページ79
今日キミは3つのことを学んだ。1つ、競争があると早くなる。2つ、やる気があると早くなる。3つ、視野モデルがあると早くなるページ92
お金だけ、今だけ、自分だけ、という3つの「だけ」から脱皮すること。そして幸せ、未来、他人も大事、だという考えを自覚することが肝要になってきます。ページ190
とにかく人が来たら、ものをあげろ。あげるものがなかったら、ただで教えろと言っています。損得抜きで見返りを求めず、人に与える。そういうギブアンドギブを実践する人こそ、多くを得る人。与え好きこそ生き方上手といえるのです。ページ106
そして55歳以降は人間として仕上げの時期です。この時期のテーマは信頼される人間になること。その際、目指すべき点は、誰もが納得する哲学をもつ、他人の足を引っ張らない、我よりも公を大切にする。謙虚であり出所進退が綺麗である。与え好きである。ページ140
万能化というのも重要なキーワードです。例えば私は仕事というのは1人の人にできるだけ何でもやらせてほうがうまくいくという持論を持っています。ページ232

歴代総理の通信簿

「歴代総理の通信簿」を読みました。民進党蓮舫二重国籍」問題を追及してきた徳島文理大学、八幡和郎教授の著作です。維新後の日本史を通観した気になりました。三条実美司馬遼太郎の「跳ぶがごとく」では無能に描かれていましたが、そうではないと力説しています。首相ではありませんが…10点満点の首相は、伊藤博文原敬吉田茂池田勇人。9点に大平正芳小渕恵三が入っています。小渕さんは意外と高評価で驚きました。8点に岸信介福田赳夫、7点に細川護煕、森喜郎で意外と善戦。小泉純一郎田中角栄は落第点の4点。鳩山由紀夫は2点で戦後首相の中では最低の評価です。1点は大隈重信東条英機です。評価基準は内政、外交、難易度などで総合的に評価しています。概ね順当だと思います。備忘します。

歴代総理の通信簿 (PHP文庫)

歴代総理の通信簿 (PHP文庫)

三条実美明治元年から18年まで天皇のもとで政府の最高責任者だったのだから、彼こそ近代日本の激動の時期に一貫して宰相だったわけであり、この人物を軽く扱うべきではない。ページ29
岩倉具視、500円札にこの人を肖像画使われていたとき、どうしてこの人がそんな重要人物なのかと怪訝だったこともあるが、今では、彼こそが近代日本建設の最大の功労者だったと評価している。ページ35
伊藤博文が生きていたら日韓併合に踏み切ったかどうかは諸説があるところだが、併合か、保護国のままにするか、どちらの場合にあっても、伊藤が存命ならその後の歴史の展開を日韓両国民にとって相対的に好ましいものにできたことは、ほとんど疑いをいれない。ページ74
原敬が暗殺されたとき、山県有朋は「原は偉い奴だった。あんな男を殺されたら国家はたまったものではない」と嘆いた。山県の立場は必ずしも民主主義に反対なのではなく、維新以来の近代国家としての成果を無にしないなら容赦しても良いということで理にかなったものだった。その意味で、山県と原というそれぞれの立場で思慮深く判断できる人材が、宮中某重大事件とそれに触発されたらしい暗殺とで同時に失われたことはこの国の行く末に暗雲を投げかけた。ページ111
最も賢い外交は感謝されるハト派、次が恨まれないタカ派、後は感謝されないハト派、最悪が恨まれるタカ派だ。幣原外交はその3番目だ。それも含めて若槻の見識は相当に高いものだが、何のために政権についたか理解しがたい中途半端な総理であった。ページ131
戦後第一回の総選挙は、昭和21年4月10日に行われた。女性の参政権が認められ、39名の女性代議士が誕生した。しばしば、誤解されているが、女性参政権は新憲法によって与えられたのではない。ページ210

今よみがえるアイヌの言霊

NHK,ETV特集「今よみがえるアイヌの言霊」を視聴しました。戦後すぐの昭和22年にNHKアイヌの語りや歌を録音していました。レコードで約100枚もの録音です。戦後の混乱期でしたがアイヌの伝承が失われるという危機感からはじまったそうです。ユカラを世に紹介した言語学者、金田一京助先生、アイヌとしてはじめて北海道大学教授になった知里真志保先生が協力しました。アイヌは普段の生活の全てにカムイ(神)を感じる民族だったそうです。人間に役立つ道具にまでカムイを感じ感謝する民族だったそうです。その生活を推し量る記録です。
大変驚いたのは、当時、文化喪失の危機を感じたアイヌの女性、金成マツさんがローマ字を覚え、ユカラを記述していたそうです。昭和3年から20年、50冊以上のノートに書き留めていたそうです。執念の仕事です。金成さんの3分の語りがレコードに採録されていました。当時71歳、切々とした、しっかりした、声でした。
アイヌから狩猟生活を奪った旧土人法が改正されたのは1997年。つい最近のことです。和人はアイヌ文化を破壊しました。日本人は金成マツさんの執念の成果を後世に残さなければいけません。

伝わる文章の書き方

経営参考BOOK No.170「伝わる文章の書き方」を読みました。書く前の準備が大切。「読者像を明確にする」「文章の目的を考える」「相手が求めていることを考える」「読み手の反応を決める」「必要な情報を集める」「自問自答を習慣化する」当たり前ですが大事なことです。次に文章は「型」を使って書くことを推奨しています。「結論優先型」「列挙型」「提案型」「重要度順型」「悩み解決型」どの型ももっともです。そして完成度をきにせず一気に書き上げることを薦めています。そののちに推敲と添削で磨き上げるとのこと。文章については、「一文一義」を心がけることや、情熱で書いて冷静で直すとのこと。また読みやすい見た目にすることがコツだと述べています。

戦略経営者 2016年12月号

「戦略経営者」2016年12月号を閲覧しました。前号に続き巻頭の松永安左エ門の「永劫不変というものはない」は面白い読みものでした。松永は福沢諭吉の熱烈な信奉者であり、物事を柔軟に捉える感性を持っていました。「社会も人も物も、時々刻々に変化があり、永劫不変というものはな。したがって革命なども恐るべきものではない」なるほど。「実利主義者と空想化」(78ページ)も読みごたえがありました。実利主義者とはプーチンのことで、空想家とはゴルバチョフのことだそうです。日本は実利主義者と交渉していることを忘れてはならないと警鐘しています。