「歴代総理の通信簿」を読みました。民進党、蓮舫「二重国籍」問題を追及してきた徳島文理大学、八幡和郎教授の著作です。維新後の日本史を通観した気になりました。三条実美は司馬遼太郎の「跳ぶがごとく」では無能に描かれていましたが、そうではないと力説しています。首相ではありませんが…10点満点の首相は、伊藤博文、原敬、吉田茂、池田勇人。9点に大平正芳、小渕恵三が入っています。小渕さんは意外と高評価で驚きました。8点に岸信介、福田赳夫、7点に細川護煕、森喜郎で意外と善戦。小泉純一郎、田中角栄は落第点の4点。鳩山由紀夫は2点で戦後首相の中では最低の評価です。1点は大隈重信と東条英機です。評価基準は内政、外交、難易度などで総合的に評価しています。概ね順当だと思います。備忘します。
- 作者: 八幡和郎
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2013/11/05
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三条実美は明治元年から18年まで天皇のもとで政府の最高責任者だったのだから、彼こそ近代日本の激動の時期に一貫して宰相だったわけであり、この人物を軽く扱うべきではない。ページ29
岩倉具視、500円札にこの人を肖像画使われていたとき、どうしてこの人がそんな重要人物なのかと怪訝だったこともあるが、今では、彼こそが近代日本建設の最大の功労者だったと評価している。ページ35
伊藤博文が生きていたら日韓併合に踏み切ったかどうかは諸説があるところだが、併合か、保護国のままにするか、どちらの場合にあっても、伊藤が存命ならその後の歴史の展開を日韓両国民にとって相対的に好ましいものにできたことは、ほとんど疑いをいれない。ページ74
原敬が暗殺されたとき、山県有朋は「原は偉い奴だった。あんな男を殺されたら国家はたまったものではない」と嘆いた。山県の立場は必ずしも民主主義に反対なのではなく、維新以来の近代国家としての成果を無にしないなら容赦しても良いということで理にかなったものだった。その意味で、山県と原というそれぞれの立場で思慮深く判断できる人材が、宮中某重大事件とそれに触発されたらしい暗殺とで同時に失われたことはこの国の行く末に暗雲を投げかけた。ページ111
最も賢い外交は感謝されるハト派、次が恨まれないタカ派、後は感謝されないハト派、最悪が恨まれるタカ派だ。幣原外交はその3番目だ。それも含めて若槻の見識は相当に高いものだが、何のために政権についたか理解しがたい中途半端な総理であった。ページ131
戦後第一回の総選挙は、昭和21年4月10日に行われた。女性の参政権が認められ、39名の女性代議士が誕生した。しばしば、誤解されているが、女性参政権は新憲法によって与えられたのではない。ページ210