下流社会 第二章

下流社会 第二章」を読みました。ベストセラーの続編です。少ないデータで仮説をたてていた前書にくらべ格段のデータ量で説得力をだそうとしていますが、前書の方がいい加減な分、面白い本になっていました。それにしても女性のしたたかさ、強さを再認識しました。備忘します。

下流社会 第2章  なぜ男は女に“負けた

下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた"のか (光文社新書)

このように年収の高い男性ほど妻に求める年収が高い。こうなると、年収の高い男性ほど妻の年収が高く、年収の低い男性ほど妻の年収が低いということになり、夫婦合計した年収の格差が拡大することになる。 (29ページ)
30から34歳の男性はそれより年上の世代の男性に比て、つまり年収がないことを求める人が激減し、 300万円以上年収のある妻を求める人が激激増していることがわかる。自分以上の年収を妻に求める男性が反すいるのだ。男性が女性にすがる時代が始まっているのだ! (32ページ)
もちろん全てのフリーターが小泉支持というわけではないが、ストリート系ファッションのフリーターという、ある意味で現代の若者の典型である人たちに小泉首相が指示されていたと言う事実は非常に興味深いものである。 (52ページ)
格差社会を批判する学者、労働組合、メディア関係者らは、非正規社員がみんな正社員になりたがっているのになれないと思っていると考えがちだ。そしてそう思ってくれた方が現政権を判しやすい。ところが、非正社員は必ずしも正社員になりたいとは思っていないのだ。だから格差社会判をするだけでは世論は盛り上がらないし、若者の支持は得られないのである。そこに階層社会あるいは階級社会とは質的に異なる下流社会の特徴がある。雇用が不安定な人、所得が低い人が必ずしも政治に強い不満を持っていない。必ずしも正社員になりたいとも、所得を上げろとも訴えていないのである。 (71ページ)
非正社員は将来的には正社員になることを希望している人が多い。しかしすぐに正社員になりたいわけではない。なぜなら正社員になると束縛が多いからだ。だからもし非正社員の話は待遇が改善されるなら、非正社員のままでもいいと思っている。あるいは正社員でも束縛の少ない働き方ができる会社があるなら、正社員になってみようかと思っている。 (75頁)
ユニクロが、正社員を増やすために地域限定社員と言う制度を始めた。私はこれは大変評価すべき制度だと思う。今の若者には、昇進、昇給をするからもっと働けというよりも、束縛がないことの方が重要なのだ。給料はちょっとしか上がらないけど、だいたい今の働きの形のままでいいよ、という方がフィットするのである。正社員になって、夜遅くまで残業したり、上司と飲みに行ったり、接待でゴルフをしたりして給料もらっても、人生は報われないと思うからである。それよりも気の合う仲間と楽しく暮らしたいのである。 (76ページ)
つまり正社員になれずに、下手に派遣やフリーターで働くくらいなら、働かないでニートになった方が階層意識が高い上流だよということなのだ。これは驚くべき結果である! (82ページ)
ざっくり言えば、年収800万円の27歳の既婚率は約50%で年収400万円の37歳の既婚率と同じだ。という事は、年収が2倍あると結婚は10年早まる。言い換えると年収が半分だと結婚は10年遅れるという言い方もできそうである。 (110ページ)
歳をとると定の人は個性自分らしさなんてどうでもよくなるのか?理由はわからないが、とにかく階層意識以上の男性は歳をとるごとに個性自分らしさを重視しなくなるのである。その結果30代以上で階層意識が低い人ほど相対的に個性自分らしさ思考が高くなるのである。(119ページ)
下流ほど歳をとっても自分を理探し続ける個性や自分らしさを重視するあまり、個性や自分らしさを100%活かす仕事は無いかと探し回る、いつまでもそれが見つからず右往左往して30歳を過ぎている人がいる。また個性や自分らしさを追い求めるあまり、そもそも自分の個性や自分らしさとは何かが分からなくなり、自分探しの旅に出て、そのまま現実に戻らない人もいる。 (120ページ)
近年フリーターや派遣が増えたことも、雇用情勢の悪化だけに原因を求めるきではないだろう。問題は単に就職活動の時点で景気がよかったか悪かっただけでは無い。自分に適した仕事を選びたい。適していなければやめたいと言う選択的な心理は、商品を多様な選択肢の中から選ぶことが当たり前になった消費社会の真理であり、また、仕事に収入だけでは無い何かを求めるのは、成熟した社会の人間としては当然のことだからである。 (127ページ)
背が高い方が雇用されやすく、さらに出世しやすいのである。したがって必然的に、身長が高い方が結婚も早い。 (145頁)
学歴が低く、年収も少なく、貯蓄もなくて階層意識も低い、見込んで、ずっと聴い正社員で、一人暮らしの女性が、日本はどうせ良くならないと絶望しながら、アロマを炊いて、ヒップホップを踊り、そして1番自分の人生に希望を持っている。何と皮肉なことか! だが間違いなく彼女達が下流社会のセンターを突っ走っている。彼女たちの乾いた笑い声が虚空にこだまするのが聞こえるようだ。 (229ページ)
フリーターや派遣社員が皆格差是正を叫び、自分たちを正社員にしろと要求し始めたと言う訳では無い。ざっくりいって、非正社員の半数は何らかの形で正社員なることを望み、残り半数は非正社員のもので待遇の改善を望んでいるというのが実態に近いのではないだろうか。 (232ページ)