できる社長の会計力

「できる社長の会計力」を読みました。会計力というのは「純資産」を守り、増加させることでした。財務諸表の見方とか、コストダウンとかの議論を予想していたので、肩透かしのような気にもなりましたが、経営者が読めば意味のある本です。ですから以前ほどの切迫感を感じませんでした。備忘します。

できる社長の会計力―経営・会計の王様!!「純資産」

できる社長の会計力―経営・会計の王様!!「純資産」

純資産をいつも考えながら行動することが「経営」です。そして純資産を増やすために現場数字を向上させる実行力が本当にできる社長の「会計力」です。(3ページ)
純資産とは、一言で言えば「元手」です。もう少し言えば「元手」と「元手を使って稼いだ利益の累積」です。「本手」では一円でもいいわけですから、ほとんどは利益の累積です。(22ページ)
経営の99.9%は決算書を大事にすることにあります。残りの0.1%が知的資産などの問題です。(64ページ)
このように純資産は簿価では売買されませんが、結局M&Aで売買するのは純資産の人気も含めた売買価格です。少し難しい言葉で言うと「企業価値」です。(77ページ)
確かにデューデリジェンスは大事ですが過大評価してはなりません。デューデリジェンスで見ているのは、結局は純資産です。純資産を調べるために、資産・負債・収益・費用の内容を見ているのです。(82ページ)
大事なのは買収した後のことです。純資産とその周りにある見えない資産が将来に役立つかどうかが大事です。経営は将来(英語で言うとアフター・M&A)を考え実行することなのです。(83ページ)
日本の会計規則では、二十年以内に均等償却します。(87ページ)
株式譲渡制限のある会社を「非公開企業」といいます。株式譲渡制限のない会社を「公開会社」といいます。それが正しい言葉の使い方です。普通、公開会社というと上場会社とだと勘違いしていますが、そうではありません。株式譲渡制限のない会社で、市場に上場した会社が上場会社です。…株式譲渡制限のある会社はもともと非上場です。株式譲渡が可能な会社の中で上場するか上場しないかに分かれるのです。…上場した方がいいか上場しないほうがいいか迷った時は、私は上場しない方がいいと申しています。…中には詐欺まがいの会社の上場してる会社もあります。ですから上場がらみには気を付けなければなりません。百十四ページ
き上場から出発して、自分で資金を集めて、いろんな人の意見も取り入れて、さらに言ったら会社にしようという志のある人以外は、簡単に上場してならないと思います。(114ページ)
しかし私は純資産はその帳簿価額が正しく表示されていることが、企業価値評価の99.9%決める、と誰よりも頑固に申しています。(128ページ)
「決算書のうち」に99.9%の軸足を置きながら、残りの0.1%である「決算書のそと」が非常に大事です。残りの0.1%の主役は人です。人と人とのつながり、心と心のつながりといったものです。…これをわかっている人や会社が信頼を得て存続し続けます。(137ページ)
会社を評価する数字を一つ上げるとするとなんですかと問われれば、私を即座にこの数字(自己資本比率)を挙げます。会社の中に入ってきてお金の中で、基本的に返さなくてもいいお金純資産がどれくらいあるかを示す数値です。(144ページ)
ROEは株主資本当期純利益率のことです、当期純利益を株主資本で割ったものです。新聞やテレビのニュースなどによく登場する言葉なので聞いたことがある人も多いと思います。株主資本を使ってどれだけ効率よく純利益あげているかを示す指標です。同じ利益を上げるにも、少ない純資産でたくさんの純利益あげたほうが効率が良くなります。この比率が高ければたくさん配当できるので株主から喜ばれる、投資家からの評価も高い…(160ページ)
純資産を増加させ、同時に純利益も増加させるには「経営力」が必要です。経営力には次の三つがあります。「事業力」−販売製造研究開発でといった会社の外からお金を頂いてくる仕事人を大事にする力です。「book keeping力」−決算書を大切にする経営です。…九十九%決算書で経営していることです。…「契約力」−超一流の専門家を使いこなす会社人の力です。…会計士を襟首を持って遠心力で振り回すように使いまくれる実力です。に…経営力に+oneとして、資金調達力が必要です。(p.163)
経営力の下にある精神は、「正確さ」「迅速さ」「誠実さ」です。最近よく問題となるコンプライアンスやコストを大事にした内部統制についても最終的には「正確さ」「迅速さ」「誠実さ」が問われる問題です。この三つの精神を持って企業経営は三つの経営力を発揮してく純資産増大・純利益増大を目指し実行していきます。(p.168)