人と人のやりとり

放送大学文化人類学」第12回 「人と人とのやりとり」を視聴しました。
北米の北西海岸の原住民のポトラッチ、ここでは数年がかりで祝い事の準備をし、人々を招集して数ヶ月にわたる宴会と莫大な贈り物を贈る風習があります。その贈り物の額は現在の日本円で1千万円にのぼります。見返りはありません。アラスカの最北端のイヌピアット族はかつて捕鯨の村でした。今でも捕鯨を行っていますが、狩猟者は鯨の肉を独占することなく、解体作業を手伝った人、老人や貧しい人、寡婦にふるまいます。また宴会や祭りの食料としても拠出します。狩猟者の手元に残る獲物は大変少ないそうです。見返りはありません。ケニア北部、ツルカナ地方の婚姻では、花嫁を貰うときに相手の親族に家畜を拠出します。数日続く長い交渉があり、まるで喧嘩腰です。しかし、その交渉の中で相手の事情を理解することやつながりができます。もしかしたら、それが目的なのかもしれません。沖縄には「共同店」が100年以上前から存在しています。現金を持たずに買い物ができたり、奨学金や治療費の立替も行っています。また地域の情報交換の要になっています。
現代の経済行動は、互酬性、交換、再分配で説明できますが、文化人類学の研究によれば我々が常識だと思っている経済合理性が全人類共通の常識ではないことを知りました。