先祖を千年、遡る

「先祖を千年、遡る」を読みました。昔、「ルーツ」という米国のテレビドラマがありました。西アフリカのガンビアで生まれた黒人少年クンタ・キンテを始祖とする親子三代の黒人奴隷の物語です。30数年前にそのドラマを観たとき、素朴な感想をもちました「私はどこから来たのか?」と。子供の頃に両親から聞いた先祖の歴史の断片は僅かです。母が亡くなったとき、思い出の品々が、ほぼ灰燼に帰し、私の記憶の中にのみ残ることを哀しく思いました。庶民はそんなものかと諦めもしました。でも、この本を読んで、母が格闘していたように、先祖もまた格闘していたに違いないと確信しました。曰く「自分が存在している、つまり、自分の家が存在していること自体が非常に奇跡的な出来事なのです(p.25)」と。
戸籍を調べれば、200年はわかる、江戸時代は菩提寺過去帳や墓石を参考に、それ以前は名字や家紋もヒントにして、千年を遡れるかもしれないと書いてあります。遡るテクニック満載の面白い本です。

日本人の家のルーツを千年以上遡ると藤原家や天皇家から出た源平に繋がる家が圧倒的に多い…藤原姓から生まれた主な名字 佐藤 高橋 田中 伊藤… 源姓から… 鈴木 高橋 田中 渡辺… 平姓から… 田中 中村 小林 吉田…(p.20)

先祖を千年、遡る (幻冬舎新書)

先祖を千年、遡る (幻冬舎新書)

ちなみに我が家で私の知っていることは以下の通り。江戸時代は江戸の刀鍛冶であった。一族郎党で伊豆半島東海岸に移住した。屋号は江戸時代から「吉野家」であった。菩提寺は「正定寺」である。家紋は「抱き茗荷」である。曾祖父は唄が上手く、その唄に惚れて曾祖母は嫁に来た。祖父は7男であった。祖母は貰い子であった。祖父と祖母は同姓であったが血のつながりはなかった。祖父は小学校を出て船大工になったが、勉学の志高く、聴講生ながら、静岡師範学校で銀時計を貰った。戦前、インドネシア造船業を営み成功した。私費で故郷に上水道を引いた。軍(谷中将)と親しく、伊豆の御料林を払い下げてもらった。戦前は、神奈川県、菊名で御殿のような家に住んでいたが、空襲で焼けた。
脚本家の従兄が「コンニャク屋漂流記」のような小説にしてくれると嬉しいなあ…