政事家 大久保利通

「<政事家>大久保利通」を読みました。堺屋太一氏によれば、「大久保利通」は日本三大偉人のひとりだそうです(ちなみに残りの2人は、聖徳太子織田信長)。若い頃、銀座の薩摩料理屋で大久保利通の事績を述べ立て顰蹙を買いました。当時は鹿児島に銅像もないとのことでした。薩摩人は彼を大嫌いだから、褒めると殴られるよと言われました。西郷隆盛に較べて評伝も少なく、脇役として彼のイメージを膨らませていました。数年前にこの本を見つけ、今日、はじめて読みました。学術的な本なので、丁寧ですが、起伏が少ないのが難です。しかし、十分に楽しめました。徳川慶喜との政治抗争、戊辰戦争、廃藩置県、征韓論、いずれも難しい決断でした。「飛ぶが如く」で描かれている世界です。大久保利通は「非情」「冷酷」「策謀家」ではなく、熟慮と果断の政治家であり、「豪傑」で「大政事家」であると再認識しました。明治維新の立役者、大久保利通なくして、今の日本国はありえないと思います。この本には書かれてませんでしたが、個人的には大変な家族思いで、貧乏(国の金を私せず)だったそうです。数年前の鹿児島訪問時、銅像の場所(生誕地)を訪れ、手を合わせました。

“政事家”大久保利通―近代日本の設計者 (講談社選書メチエ)

“政事家”大久保利通―近代日本の設計者 (講談社選書メチエ)