侵略に気づいていない日本人

「犠牲者120万人、祖国を中国に奪われたチベット人が語る侵略に気づいていない日本人」を読みました。 1965年、チベットを追われインドから日本に逃れてきたチベット人(今は日本に帰化)の著書です。私より一歳年上の同年代ですので、この頃からの日本の変貌は著者の言うとおりだと思います。地域コミュニティの崩壊、「おかげさま」精神の忘却、お花畑のマスコミや政治家の横行を嘆いています。もうひとつ中華思想への警鐘を鳴らしています。「一帯一路」の本質について解説しています。国を失うことの悲惨さがよくわかりました。憲法9条でも、核武装でも国は守れない、国民の意識を変えなければ国は滅ぶと警告しています。チベット、ウィグルの轍を踏んではいけないと。 備忘します。

日本人にとって、国家間の条約は原則守るためにあるにしても、中国にとってはまったく異なる。条約を破ることなど、彼らは全く何とも思わないし、むしろ破るためにあったことは、このチベットの例を見ても明らかだ。ページ54
このチベットの悲劇を、日本の人たちにもぜひ教訓としていただきたいと考えている。現在の日本国の憲法前文、そして第9条、それを守るべきだとする日本の知識人、政治家の発言は、私には、かつてのチベットを滅ぼした言説とまるで同じ幻想にとらわれたもののように見える。ページ64
西洋に追いつき、さらに追い抜くほどの経済的な豊かさと国際的な地位を得た段階で、日本国は逆に国家の目標失い、その後でてきたのが「国際化」という言葉だった。 「国際化」によって、日本においては国家というものを限りなく否定する方向に向かってしまい、同時に、日本の過去の歴史や伝統も否定する方向に向かった向かってしまったとしか思えない。ページ97
日本国の最高権威である天皇陛下が謝罪されたことの意味は、日中間にとってとてつもない重い意味を持つ。また、これで中国は事実上、国際社会の制裁をはねのけるだけの外的処理を経たようなものだった。ページ146
朝日新聞の)本多勝一氏が、「中国の旅」で紹介した様々な言説の言語記録の信憑性に疑いを抱かざるを得ないことは、以下の引用部分を読むだけでも明らかである …本多氏は、「客観中立など存在しない」と言い切ってしまっている。なぜそんな乱暴な、まるでジャーナリズムの基本を否定するようなことが言えてしまえるのか。ページ168
慰安婦問題の)この吉田証言が、全く根拠のないものであったことを現在では証明されている。…朝日新聞が正式にこれを偽りと認め、取り消したのは2014年8月のことだった。ページ171
現在年金暮らしのお年寄りが社会の負担であるかのように言う人がいるが、お年寄りは、今まで懸命に働いてて国に税金を納めてきた。この人たちには、充分に恩恵を受ける権利があるし、お年寄り自身がもっと自信を持って生きることができる社会でなければ、今の若い人もいずれ不幸な晩年を迎える。素直にそう考えられること、これも「おかげさま」精神である。ページ257