見て見ぬふりをする社会

「見て見ぬふりをする社会」を読みました。日本人だけでなくヒトに「見て見ぬふり」の種が宿っていることを知りました。著者の略歴をみて、そのスーパーレディそのものに驚きました。経営者にしてプロデューサーにして作家で研究者のマルチタレントです。なかなかの博識でストーリーテーラーとしても優秀だと思います。おのおののエピソードに引きずり込まれます。特にヒトラーグリーンスパンカサンドラの話は秀逸でした。
会社内の不正行為や、学校での大量殺人、戦争や医療事故、いじめ、多くの不都合が起きる遠因に「見て見ぬふり」をする人間の行動があると述べています。「見て見ぬふり」は社会に不幸をもたらし続けています。福島の原発事故もその一例だそうです。これを克服するには、自問しかないとのこと。「私は何を知ることができるのか? 何をしるべきなのか? そして何を知らず、なにを見過ごしているのか」と自問せよと。備忘します。

見て見ぬふりをする社会

見て見ぬふりをする社会

シュペーアヒトラーの相互の愛と総統をめぐる政治的な環境はシュペーアにとって致命的な組み合わせだった。シューペーアのアイデンティティはあまりにも完全にヒトラーに依存していたので、ヒトラーに対して批判的な考えはシューペーアの意識にいっさい表れなくなった。(p.67)
グリーンスパンは…規制された市場が縮小し、自由市場が拡大すればするほど、我々はみな暮らし向きがよくなると本気で思っていた。(p.92)
アポロンが美貌のカサンドラを見初め、預言の力を与えた。しかし彼女に振られると、アポロンは腹いせに自分が与えた力にその預言を誰も信じないtろいう運命をつけたした。(p.292)