インド放浪

「インド放浪」を読みました。私にとって、すでにこの本を読む時期は過ぎ去っています。ノスタルジーとか、レクイエムとしての読書はまだ早いと思っています。後半は飛ばし読みでした。
著者の藤原新也氏は私より10歳年上で、芸大を中退しカメラを持って世界放浪の旅にたちました。今から40年以上前のことです。熱に浮かされたような行動、その熱は私にはありませんでした。羨ましくもあり、バカらしいとも思います。岩男英樹さんがインドで何を思い、若林淑子さんがガンジス河で何を悟ったか、今度じっくりとお聞きしたいと思います。備忘します。

印度放浪 (朝日文庫)

印度放浪 (朝日文庫)

アフリカというのはインドとは違った意味で原質の世界だな、と思いました。石、と言ったら、石以外の何物でもない世界だな。インドだったら、石と言ったら、石の背後に何かの隠喩が働く。どちらがすごいかと言ったら、インドの方が深いけど、アフリカの方がふっ切れている。
チベットには上に引きつけられる逆の引力がある。インドでは土に引きつけられる。両極端みたいな感じだね。
ぼくは歩んだ。出会う人々は、悲しいまでに愚劣であった。出会う人々は悲惨であった。出会う人々は滑稽であった。出会う人々は軽快であった。出会う人々ははなやかであった。出会う人々は高貴であった。出会う人々は荒々しかった。世界は良かった。そして美しかった。