神の島 沖ノ島

「神の島 沖ノ島」を読みました。偶然ですが。この前に読んだ「インド放浪」の藤原新也氏の写真集でもあります。安部龍太郎氏の沖ノ島を題材にした短編小説でもあります。
沖ノ島については「古事記を旅する」の冒頭の章で詳しく述べられており、全裸で禊をすることや、女人禁制も知っていました。でも。玄界灘の流れが急で難破の可能性があることや島の周りには隠れ岩もあり近づきすぎると座礁の可能性がある危険な場所であることは知りませんでした。古事記で語られているのは、アマテラスとスサノオの姉弟の喧嘩による誓約(うけい)で生まれた三女神がこの北九州の沖ノ島、大島、宗像大社に降臨したことです。ヤマト政権や朝鮮貿易で栄えた宗像一族により神秘のベールに包まれた紙の島が二千年近く祀られているのです。備忘します。

…60歳に近づいた年齢のせいだろう。人生の終わりが見えてくるにつれて、一生の間に出来たこととと出来なかったことがはっきりとしてくる。そしていかに生きるべきかに思いをいたすようになると、人類が延々と信仰を保ち続けた意味がずしりと胸に迫ってくる。よく生きるためだけではなく、迷いなく最後の時を迎えるためにも、信仰は必要なのである。(p.109)