預金封鎖に備えよ

預金封鎖に備えよ」を読みました。センセーショナルな書名ですが、日銀の異次元緩和の解説やマイナス金利の解説に多くのページをさいています。オーソドックスな内容です。後半は、第二次大戦後のハイパーインフレの解説と「政府はときどき強烈な嘘をつくということを、私たちは歴史から学ぶべき」という教訓。最後にビットコインノアの箱舟になるかもしれないと教えています。日本も仮想通貨を認めたとは知りませんでした。三菱UFJ銀行が円との連動を前提に発行するそうです。もしかしたら日銀のかわりに三菱が中央銀行になるかもしれません。備忘します。

預金封鎖に備えよ マイナス金利の先にある危機

預金封鎖に備えよ マイナス金利の先にある危機

終戦直後、まず直面したのがハイパーインフレーションです。1946年時点での卸売物価の上昇率は約433%。そこで終戦から半年後の1946年2月に発布されたのが、「金融緊急措置令」と「日本銀行券預入令」です。ページ182
膨れ上がった国の借金を減らすには、あらゆる増税でも追いつかず、結局は激しいインフレによるインフレ税に頼らざるを得なかった。この事実を、私たちは重く受け止める必要があるでしょう。ページ190
…ところが今日でも、この文言と似たような議論を聞くことがあります。国債が国内で消化できているからといってけっして安心できないこと、そして政府はときどき強烈な嘘をつくということを、私たちは歴史から学ぶべきでしょう。ページ197
…これは、いわゆる「財政フファイナンスを公言することであり、ハイパーインフレーションなどを引き起こす可能性がきわめて高くなります。ほかに策かない場合の最終手段としてのみ、考慮されるべきでしょう。ページ217
…付利をゼロにしても、準備の残高はさほど変わらないかもしれません。これは政府・日銀にとって、御の字の結果でしょう。そこから少しずつマイナス金利を導入し、その収益で資産側の国債を償却するという道筋は十分に考えられます。つまり、預金封鎖(厳密な意味では、民間銀行の預金者に対する預金封鎖でなく、法定準備率の大幅な引き上げ)と預金課税によって日銀は救済されると同時に財政再建を進めるわけです。ページ229
やはり政治経済や財政、通貨に不安があるからこそ、ビットコインに換えて資産の保全を図ろうとしているのでしよう。だとすれば、そろそろ日本人ももっと関心を持つべきかもしれません。ページ233
これにより、取引の決済手段として、ビットコインなどの仮想通貨が法的に位置づけられました。将来、日本が財政危機に陥つたとき、これは資産防衛の「ノアの方舟」になる可能性を秘めています。ページ234
ビットコインやMUFGコインのみならず、今後も仮想通貨は数多く登場してくると思います。これは私たちにとって混乱の材料にもなりますが、資産の分散化によるリスクへツジの機会を得ることにもなります。共倒れしないものを見極めて、うまく利用することが重要だと思います。ページ239
ただし、誰もが早めに「資産防衛」すべきかと言えば、そうではありません。その効果が見込めるのは、数千万円以上の資産を持つ富裕層だけ。資産をビットコインのような仮想通貨に換えるなり、あるいは海外に移すなり、株や不動産に換えておくなりすれぱ、相応の防衛にはなるでしよう。ページ242