AI vs.教科書が読めない子どもたち

「AI vs.教科書が読めない子どもたち」を読みました。前半は、AIやシンギュラリティの幻想を打ち破る論です。説得力あります。スパコン量子コンピュータになっても、ダメな理由を述べてます。コンピュータは、「意味」を理解できないからだそうです。。ビッグデータ幻想も批判してます。データを集めることができない事象は、お手上げです。ユーレカ!わかった!の構造を解明しない限り、真のシンギュラリティは起きないことを理解しました。
後半は、衝撃的です。今の多くの中高生は、教科書を読めない、誤読していることを証明しています。このままでは、いわゆるAIに代替されてしまう、仕事を奪われてしまうのは、必定です。私は、本書の例題を間違えることは、ありませんでしたが、そこまで若者たちの能力が落ちたとは! 教育の劣化かもしれません。教科書が読めなければ、独学はできませんし、マニュアルすら理解できません。中高生をお育ての方は必読です、備忘します。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

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私は2011年に「ロボットは東大に入れるか」と名付けた人工知能プロジェクトを始めました。ページ19
今後、10年から20年の間に、働く人々の半数が職を奪われるかもしれないのです。実はこの予測を最初に出したのは、オックスフォードのチームではありません。MITの「機械と競争」でもありません。私です。2,012「コンピューターが仕事を奪う」でそう予測したのです。ところが、日本人は真に受けませんでした。ページ76
50パーセントのホワイトカラーが、20年、いやもっと短い期間で減るというのは、とてつもないことです。ページ77
スパコンの能力が向上したりすれば、人間の知性を超えられる」というのはデタラメです。量子コンピュータを使っても状況は変わりません。例えて言うなら、全ての英単語を憶えても、文法を全く知らなければ、英語を読んだり話したりできないのと同じです。ベージュ84
つまり、大学入試ではビックデータ集めようがないのです。ビックデータが集まったとしても、それで入試問題が解けるようになるとは限りませんが、多くの方が、そしてAI関連企業やAIの研究者たちさえも、ビックデータは集まるはずだ、集まりさえすれば東ロボくんは東大に合格できるはずだと、二重の誤解をしているのです。ページ87
論理、確立、統計。これが4000年以上の数学の歴史で発見された数学の言葉の全てです。そして、それが化学が使えることの全てです。次世代スパコン量子コンピュータが開発されようとも、非ノイマン型といおうとも、コンピューターが使えるのは、この3つの言葉だけです。ページ118
数学が発見した論理、確率統計にはもう一つ決定的に欠けていることであります。それは「意味」を記述する方法がないということです。数学は基本的に形式として表現されたものに関する学問ですから、意味としては「真・偽」の2つしかありません。よって、「ソクラテスを人である。人は皆死ぬ、よってソクラテスも死ぬ」のようなことしか演繹できないし、意味がわからないというより表現できないのです。ページ119
コンピューターが数字の言葉だけを使って動いてる限り、予見できる未来にシンギュラリティーが来ることはありません。そういうと、夢がないとかロマンがないと批判されることがありますが、来ないものは来ないというしかありません。ページ163
「残る仕事」の共通点を探してみると、コミュニケーション能力や理解力を求められろ仕事や、介護や畦の草抜きのような柔軟な判断力が求められる肉体労働が多そうです。ページ171
結論を先に申し上げますと、日本の中高校生の読解力は危機的と言って良い状況にあります。その多くは中学校の教科書の記述を正確に読み取ることができません。ページ173
基礎読解力が低いと、偏差値の高い高校に入れないでしょう。当然です。基礎読解力がなければ、教科書だけでなく、試験問題の問題文も速く正確に読めないからです。ページ220
その学校の教育方針のせいで東大に入るのではなく、東大に入れる読解力が12歳の段階で身に付いているから東大に入れる可能性がほかの学生より圧倒的に高いのです。ページ221
かつて、数学者の藤原正彦さんは、学校教育に何が必要か、と尋ねられて「一に国語、二に国語、三四がなくて、五に算数」とおっしゃいました。私は今現在の国語で良いかには疑問があるので、「一に読解、二に読解、三四は遊びで、五に算数」でしょうか。ページ227
AIと共存する社会で、多くの人々がAIにはできない仕事に従事できるような能力を見つけるための教育の喫緊の最重要課題は、中学校卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすることです。世の中には情報は溢れていますから、読解能力と意欲さえあれば、いつでもどんなことでも大抵自分で勉強できます。ページ241
そこにあるのは…需要が供給を微妙に上回っていて、同じものが他に存在しないために、ある種の「独占」が起こっている新しい時代のマーケットの姿です。ページ276
重要なのは柔軟になることです。人間らしく、そして生き物らしく柔軟になる。そしてAIが得意な暗記や計算に逃げずに、意味を考えることです。生活の中で、不便に感じていることや困っていることを探すのです。ページ279