ホントにはじめての原価計算

「ホントにはじめての原価計算」をKindleで読みました。工場のコンサルティングの仕事をいただきましたので、念のために読んでみました。二年ほど前から日商簿記検定で「初級原価計算」の試験が始まったそうです。読んでみて、簿記三級より易しいと思います。二級の工業簿記は、仕訳が面倒だった記憶がありますが、初級原価計算は、仕訳が少なくて、かなり楽です。通読して、原価低減の私の提案がオーソドックスであることを確認できました。財務会計が不確かであれば、便法で管理会計の仕組みを作る方が現実的です。勉強になりました。備忘します。

 

 


原価計算は、作った製品の原価を算出することを目的とします。“原価”は製品 1個あたりの数値です。「販売価格-原価 =利益」ですので、会社としては原価がわからないと、販売したときに利益の金額がわかりません。

かかった原価を「仕掛品」という資産勘定の借方に積み上げていくわけです。非常に大切なことですのでもう一度言います。製造するためにかかった原価は「仕掛品」勘定に集めていきます。それまでいくらの原価がかかったのかは、「仕掛品」勘定で把握するわけです。

財務会計は外部に報告・開示するのが目的ですから、計算期間は事業年度です(通常は 1年間です)。一方工業簿記・原価計算は企業内部でのデータ把握も目的ですから、 1ヶ月を計算単位とすることが多いです。

製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の 3つに分けられます。この 3つ、とりあえず今ここで覚えてください。これら 3つの概念は工業簿記・原価計算の基本中の基本となります。

製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の 3種類に分けられる。そしてそれらはそれぞれ「製造直接費」と「製造間接費」に分けられる。よって製造原価は「直接材料費」「間接材料費」「直接労務費」「間接労務費」「直接経費」「間接経費」の 6種類に分けられることになる。

製造原価は操業度(工場の稼働時間など)との関連で、変動費と固定費に分けられる(販売費・一般管理費も何らかの操業度に応じて変動費と固定費とに分けられます)。

消費金額はどのように把握されるのかというと消費数量 ×消費単価で算出されます。つまり、材料の消費金額を算出するためには、消費された材料の数量と、消費された材料の単価の 2つを算出する必要があります。

継続記録法は、材料の受入と払出のつど、材料元帳にその数量を記録する方法です。一方、棚卸計算法は材料の受入のときのみ材料元帳にその数量を記録する方法です。

材料の単価を算定するには、主に先入先出法と平均法があります。

直接工の賃金がすべて直接労務費になるわけではなく、直接作業時間以外の時間分は間接労務費です。たとえば、毎朝の機械稼働前の準備待機時間や仕事場の清掃時間にかかった分の賃金は間接労務費です。

経費とは、例を挙げると、水道光熱費、修繕費、電話代(通信費)、棚卸減耗費、外注加工費、工場の機械設備の減価償却費などです。

総合原価計算というのは、このようにまずは「製品数十個・数百個分の材料を投入し、それに同一内容の加工を次々としていく」というイメージを持っていただきたいわけです。

原価( Cost)、営業量( Volume)、利益( Profit)それぞれの頭文字をとって CVP分析と呼ばれています。これは「この原価であれば、どれくらいの販売数量があれば、どれくらいの利益となるのか」といったような分析です。

この売上高直線と総原価直線が交わる点は、売上高と総原価が等しいので、儲けになるか、損になるかの分かれ目の点です。この交点よりも売上高が小さければ損失ですし、大きければ利益(儲け)です。この交点を損益分岐点(そんえきぶんきてん)といいます。

損益分岐点では貢献利益の金額と固定費の金額が等しいので製品単位当たり貢献利益 ×損益分岐点販売数量 =固定費
損益分岐点売上高 =(固定費 ×販売単価) ÷製品単位当たり貢献利益