3Mで学んだニューロマネジメント

「3Mで学んだニューロマネジメント」を読みました。尊敬する先輩からの推薦です。「…コンサルタントに役にたつかもしれません。…今度お会いするときに議論したくてメールしました」とのことでした。私がコンサルタントの仕事を始めたことを知り、アドバイスならびに生き方の指針を示してくれたのだと思います。
 脳科学イノベーションと経営コンサルティングに関連があるのか、疑問を抱きながら読み続けました。イノベーションの本質は技術革新ではなく「利用しうる色々な物や力の結合を変更して新しい結合を作ること」(ページ23)と定義すれば、経営改革そのものだと気づきました。会社の存在理由を明らかにすること、見える化(文書化)すること、規律を保つこと、自主性を重んじること、是正措置と予防措置の違いと両立を知ること、それぞれ腑に落ちる内容でした。
 生き方についても重要な示唆をいただきました。①「迷い」を解く鍵を知りました。 ・自分のDNAは生存競争勝ち抜いたDNAであるから生き残れるという「根拠なき自信」を与えてくれます。 ・人は必ず死ぬから、精一杯生きるために「勇気ある決断」を促します。 ・「役を演じる」ことにより、やりたいことではなく、やるべきことをやり、「自分を褒める」ことにつながります。 ②人間は起きている半分の時間、「過去」や「未来」のことを考えているとのこと(「マインドワンダリング」状態)。ストレスを減らすには「今」に集中することが大事で「マインドフルネス(瞑想)」が有効だそうです。現実をあるがままに知覚するトレーニングです。実行してみます。良書です、備忘します。

3Mで学んだニューロマネジメント

3Mで学んだニューロマネジメント

実は、イノベーションが生むお金には大きな特徴がある。それは「ありがとう」が添えられていることだ。イノベーションが大きな顧客価値を生み、顧客の事業発展させたり、商品やサービスの購入者がワクワクした気持ちなったりする。それに対する感謝の気持ちが「ありがとう」であり、その対価として知られるのがお金である。ページ29
NUDとは、「ニュー(新規であるか」、「ユニーク(唯一であるか)」「different(明確な差異があるか)」の頭文字をとった造語で、アイデアの価値独創性を評価する上で大きな手掛かりとなる。ページ 37
イノベーションのマネジメントにおいては現場の自主性を尊重するのが基本である。しかし、より高い視点に立つと、社員にイノベーションを促す強制力が必要となる。ページ40
ゆえに、このやる気を引き出すために最も重要なのは、「マネジメントを信じる心を育てる」ことなのである。逆から見れば「信じるに足るマネジメントを常に行う」ことだ。ページ57
やる気と自主性のある人材を育成するにはまず、そうした人材を重視するという経営層の意思を、誰にでも分かるように見える化(文書化)することが必要だ。ページ57
15パーセントカルチャーは、「上司に承認されなくとも、業務時間の15パーセントは会社の成長に貢献すると信じる活動に費やして良いという不文律」と簡潔に説明されている。ページ62
このやる気を引き出すために忘れてならないのは、当然ながら成果に対する評価である。最も分かりやすいのは、仕事で成果を上げれば出世できるという事実を示すことだ。それを信じることができれば、やる気が自然と出てくる。ページ66
顧客に密着するとはつまり、顧客の現場に赴き、共に暮らし、顧客に見えるものを見るということである。ページ78
名前を挙げるということは、確実にこのやる気を引き出すことにつながる。しかも費用はかからない。ページ94
どうすれば部員が腹落ちした状態を作り出せるのか。そのポイントは、部員の心を「〇〇しなければならない(マスト)」という状態から「〇〇したい(ウォント)」という状態に変えることだ。ページ107
とても実現できそうもない最終目標(背伸びした目標)であっても、そこに至るいくつかの中間目標設定し、それらをクリアしていくことで、段階的にentitlementの達成を目指す。ページ117
実際の取り組みは、今起きている問題の原因を特定した上で、それを取り除く「是正措置」と、それを一般化して問題発生のリスクを減らす「予防処置」に分けられる。前者が事後的な対応、つまり「守りの対応」であるのに対し、後者は事前的な「攻めの対応」といえる。いずれの対応でも大事なのは、根本原因を特定することだ。根本原因を特定できなければ有効な対策を立てられない。 そして根本原因の追求には、Whyの繰り返しが有効となる。さらに念頭におくべきことは、是正処置と予防処置も二者択一ではなく、両立させる計画を立てることだ。ページ198
もう一つ、心の支えとしてる言葉がある。それは筆者が研究室に所属していた当時、助教授だった梶山千里先生が話してくれたことだ。「破れ常識、超えよ限界」と「守れ常識、知れよ限界」である。ページ251
1番目の鍵は、我々ホモサピエンスは、誕生以来、約20万年間に及ぶ環境変化等の生存競争を乗り越えて生き残ったという事実である。荒波を生き抜いてきた先祖のDNAを、われわれは持っている。遠い先祖からつながる命のリレーにおいて、たった1人が欠けただけでも現在の自分は存在しない。つまり自分が持っているDNAは先人たちの努力によって生存競争勝ち抜いたDNAである。このDNAを受け継いでいるという自己認識は、やればできるという強固な「根拠なき自信」を支えてくれる。 2番目の鍵は、生きている時間は永遠には続かないという心理である。100年後には自分は存在していないという真理と何もせずに寿命を迎えるのは嫌だという自然な感情は、「勇気ある決断」をする際、背中を押す効果がある。 3番目の鍵は「役を演じる」という、プロフェッショナルとしての職業倫理である。たとえやりたくないことであっても、それが自分に求められた役割であるならば、やりたいことと同じ情熱を持って全力を尽くすのがプロである。顧客もしくは会社からもらったお金は、お客もしくは会社の満足に確実に返還しなければならない。この職業倫理は、やりたいことではなく、やるべきことをやるのが基本となる。 筆者この3つの迷いを解く鍵にそれぞれDNA、Life、Playとタイトルつけている。DNAは「根拠なき自信」に、Lifeは「勇気ある決断」に、Playは「自分を褒める」に展開できる。ページ259
具体的な行動規範としては、「善良である事」、「正直である事」、「偏見なく公平であること」、「忠実であること」、「正確であること」、「敬意を持つこと」の6つの柱がある。ページ341
…この「マインドワンダリング」状態は、生活時間の実に47パーセントにものぼった。これは人間に備わってる「記憶力」と「想像力」が原因となっている。つまり、日中起きている時間の半分近くは、目の前の現実について考えていない。 ページ428
「マインドワンダリング」から逃れて、今の行動に集中するには、「マインドフルネス(瞑想)」が有効なことがわかっている。「マインドフルネス」が目指すのは、今の瞬間に気づきが向かう状態である。つまり、現実をあるがままに知覚することである。簡単に言うと、意識を今この瞬間に釘付けするトレーニングだ。ページ429
しかしなぜ「今」に注意を集中すると、ストレスを減らすことができるのだろうか。それはストレスの原因となった過去の出来事にとらわれるとストレスが再生産されたり、未来に不安を感じてストレスが増幅したりするから。「今」に集中すると、そうしたことがなくなり、ストレスホルモンの過剰な分泌が抑えられる可能性があるという。ページ431
もし、自分の能力に限界を感じたら、それは深刻な悩みとなる。…意識して注意力を持って取り組み、あきらめずに繰り返す情熱があれば、何でも成し遂げられのだ。限界は打ち破れ。脳が健康であれば、年齢を重ねることはの活動のマイナス要因ではない。ページ438
脳の可塑性を広げる4項目を不変の真実として認識しよう。ただし、4つの可塑性は、いずれも絶え間ない自己研鑚が不可欠となる。すなわち、自身の能力に対する悩みを解く鍵は、絶え間ない自己研鑽なのである。ページ439