右大臣実朝

「右大臣実朝」を青空文庫で読みました。太宰治氏の作品です。今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を毎週欠かさず見ています。脚本、三谷幸喜さんの実朝像はこの「右大臣実朝」に影響されていると思います。これまで実朝は、詩歌に優れ遊興に耽る凡君との印象でしたが、太宰は近習の若者を語り部として、多面的に描いています。聖徳太子にあこがれ、名君になろうとした「あがき」と周囲の圧力にたいする「反抗」が交錯して「あきらめ」の境地に陥った悲劇的な人物として描かれています。吾妻鏡を下敷きに、政子、義時、義盛、義村の生き様がいきいきと描かれています。鴨長明、陳和卿、公暁それぞれの関わり、複雑な心境は、とても面白いです。