高齢社会と心理学

連休中に、東京大学学術俯瞰講義2008「心に挑む」 で勉強しました(iTunesUで無料)。約1時間程度の講義が13回で構成されています。その中で秋山弘子先生の「高齢社会と心理学」に感銘しました。老人に関する横断的な学問を「ジェロントロジー」というそうですが、ジョンローとロバートカーンという学者がネイチャーに一枚の短い論文を書いたときから、老人学の目的は「ユージュアルエイジング(寿命を延ばす)」から「サクセスフルエイジング(QOL追求)」に変化したそうです。
「サクセスフルエージング」とは身体的自立、経済的自立、精神的自立、社会貢献を要件とするそうです。デイビットブラウン「枯れてたまるか」を思い出しました。

枯れてたまるか!

枯れてたまるか!

「高齢になると知能は減退するか?」についても明快な説明がありました。即ち、流動的知能(新しいこと学習する)は60歳から急速に低下するが、結晶性知能(学習、経験を生かす)は死ぬまで低下しない。もちろん個人差は大きいとのことでした。
先週の朝日新聞で日野原先生が、良く生きるためには「愛すること」「新しいことをすること」「耐えること」という言葉に一脈通じると思いました。また、人口の3分の1が高齢者になる社会では、個人的にも、ビジネスマンとしても「高齢者」に対する深い理解がなければならないと痛感しました。
それぞれの先生の講義は各々味があって楽しめました。もうひとつ挙げるとすれば、下条信輔先生「情動−からだと心を動かすもの」です。熱のこもった話しぶりも素晴らしいのですが、広告宣伝を生業とする人は必見の内容です。
また、大学の講義をiPadで、手軽に、しかも無料で受けることができる時代になったことにも、大いに感銘しました。